「おはよお」
「ん,おはよさん…今日は,すえの子だっこ,してへんのんか」
「うん,みなまだ寝てるで」
「そっか」
「昨日の晩,ここの部屋で,さきの子ちゃん,大泣きしてたな」
「ああ,聞こえてたか」
「何してたん?」
「うーん,話せば長くなるんやが…」
「ぱぱあ」
「あ,さきの子か.眠たないんか?」
「これきくー」
「音楽*1な,操作できるか? ….お,鳴りだしたか」
「おえかきするー」
「気変わり早いなあ.まあええか.紙は,これな」
「ぱぱありがとー」
「んで,書くものは…ああ,ここに鉛筆があった」
「ちがう」
「いや,これは鉛筆やねん.芯も,ええ具合に出てるし」
「ちがう」
「これでかいてくれへんかなあ」
「これ!」
「鉛筆入れ*2を指差して『これ』では,わからんなあ」
「これ!(近くまで行く)」
「どれってよ」
「これ!(足を本の上に乗せる)」
「こらこら,横積みの本の上に足を乗せるな.崩れたらお前,大変なことになるねんから」
「これ!」
「そうやなあ.あそうや,だっこしちゃろ.んで指差してみ(だっこして鉛筆入れに近づける」
「これ!」
「ほお,取ったか.それは耳かきな.これで書きたいんか!? 書かれへんで.これはな,耳を掻く道具や」
「…」
「あかんの.な」
「もっかい」
「何や(だっこして鉛筆入れに近づける)」
「これ!」
「次に取ったんは,赤ペンなあ.白い紙の上に書き出したら,鮮やかよなあ」
「…」
「けどこれあかんねん.さきの子・あとの子が使こたら,筆圧が強すぎて,1回おえかきしたらすぐパーになるから」
「ぱぱとった!」
「あかんの.この鉛筆でかきなさい」
「ぱぱとった〜〜〜〜!!」
「…てなやりとりがあって,部屋から追い出したんやが」
「あの子もなあ」
「寝間に行ってからはどうよ」
「さきの子ちゃん? すぐ寝たで」
「そんなもんなんか」