これまで読んできた中から,「安全な組体操」を提案したり,「組体操成功のための工夫」を紹介したりしている文書を整理してみました.また末尾には,当ブログからの抜き出しをつけました.
書籍
DVD付き みんなが輝く組体操の技と指導のコツ (ナツメ社教育書ブックス)
- 作者: 谷古宇栄,
- 出版社/メーカー: ナツメ社
- 発売日: 2015/02/17
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- 作者: 関西体育授業研究会
- 出版社/メーカー: 明治図書出版
- 発売日: 2014/05/29
- メディア: 単行本
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- 作者: 根本正雄
- 出版社/メーカー: 明治図書出版
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8時間でできる!組体操の指導法 (教育技術MOOK よくわかるDVDシリーズ)
- 作者: 杉原浩二,川野幸一,戸田克
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/08/01
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- 作者: 浜田靖一
- 出版社/メーカー: 泰流社
- 発売日: 1972
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- 作者: 浜田靖一
- 出版社/メーカー: 泰流社
- 発売日: 1971/05
- メディア: 大型本
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論文・解説
- 小川茂: 組体操の「共創空間」が生み出す教育的価値, 教育実践研究, 上越教育大学学校教育実践研究センター, No.21, pp.185-190 (2011). http://ci.nii.ac.jp/naid/120002988388 http://hdl.handle.net/10513/1213
- 小川茂: 組体操を通して、言語が子どもたちに及ぼした効果, 教育Net Space-K 教育データベース, No.02235 (2011). http://www.netspace-k.com/edu_db/detail.php?id=2235
- 吉野義郎: 新・組体操〜指導法のDVD教材作成と評価・改善〜, 兵庫教育大学 特定 の課題についての学修の成果内容要旨 (2011). http://hdl.handle.net/10132/6919 http://repository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/6919/1/YW40202022.pdf
- 鈴村裕輔: 「組み体操の高さ規制」問題で重要な観点は何か, 体育科教育, 大修館書店, Vol.64, No.2, p.63 (2016). asin:B018KOLK92
Webの情報
- 名古屋市:報道資料 平成28年2月12日発表 組体操における安全確保について,組体操における安全確保のためのガイドライン(小学校)
- 組み体操事故 子供の安全確保が大前提だ : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
- 組体操は、技を教えるのではない! 心を育てる組体操の実践を! - 学びの場.com
- それでも私が組体操に取り組む理由。ある現役教師の告白
- ピラミッドが立った! - 校長のブログ
- 組体操の指導を成功させる10の秘訣 (7)三段タワーのメンバーは論文審査の指名方式で | TOSSランド
- スポーツ・遊び・からだ・人間: 運動会「人間ピラミッド」の是非論をめぐって。
- 組体操〜主旨説明・基本ルール | 体育の学習指導案・授業案・教材 | EDUPEDIA(エデュペディア) 小学校 学習指導案・授業案・教材
- 組み体操 高さ制限の動き…事故年8000件超、禁止する自治体も : 知りたい! : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)
- asahi.com(朝日新聞社):できた!10段ピラミッド 137人で組み体操 兵庫 - 朝日新聞プラス / 魚拓
- 組体操に関するtakehikomのはてなブックマーク
文部科学省(旧・文部省を含む)の文書
- 文部科学省: 小学校学習指導要領解説 体育編 (2008). http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/01/19/1234931_010.pdf
- リスクコミュニケーションの推進方策
- 第二章 教材の解説とその指導(学習指導要領 小学校体育編(試案)昭和二十四年度.「その他の例」でページ内検索するとイラストあり)
- 附録(小学校学習指導要領 体育科編(試案)昭和28年(1953)改訂版.「ピラミット運動」など)
組体操への言及はないが,有益な書籍
- 作者: Baruch Fischhoff,John Kadvany,中谷内一也
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2015/04/26
- メディア: 新書
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当ブログからの抜き出し
それと,上記のあとがきは,「タワーの技はやらないようにした」であり,ピラミッドの技については何も言っていません.同書の中で,最も段数の高いピラミッドは,55人ピラミッド(pp.144-145)で,三角錐型で7段のピラミッドとなります.横から見た55人の配置と,配置決めの指針,また成功に導くための細かな情報が載っていました.
「組体操は危険だからやめてほしい」「やめます」の事例研究
55人ピラミッドは,昨年購入した本でも目にしています.(略)実施にあたっての詳細説明が少ない一方で,人数(そして段数)を減らした三角錐型ピラミッドの例が,同じページの下段に見られます.
出自の異なる2冊の本から,55段ピラミッドを成功させ,そのやり方を説明してあるわけなので,実施者(指導にあたった先生方)からすると,比較的「安全」な技だ,と判断することができます.
どの出力にも,「この列に最も負荷がかかりますので、協力し合いましょう。」が1つずつ,入っています.これはgfload.rbの内部で計算した値を用いています.
組体操・人間ピラミッドの構築手順をRubyで
では,「心情的陶酔感を実感した人達の一部に、今度は、それをゴールにして移動大学をやろうとした人たち」が,組体操を指導する人々にいるだろうかと考えてみると…
組体操(タワー)のマテメソ,そして心情的陶酔
ゼロとは言い切れませんが,体育指導に一定の力量があり,学校の児童らをよく見ることができ,子どもの言葉を拾い挙げて指導に活かし,他の教師らと連携して,運動会の準備・実施にあたってたりしている先生は,その立場になりにくいとも思っています.
逆に言うと,これまでの実績にすがり,児童それぞれの個性や日々の変化を見出せず,時間をかければ完成度は高められるの思いで一方的に指導し,他の教師を主導して運動会を計画・遂行している先生のところは,危ないぞとなります.
新書はこのあと,教育委員会の見解や,教育としての組体操の問題点へと移っていきますが,個人的に,安全性とインパクトを両立させるような,組体操の技はあるのかなと検索していくと,1つ,気になるものを見つけました.
「組体操は学習指導要領に記載がない」を起点に
(略)
やり方は次のとおり(p.47).
4章には,さまざまな対比が整理されています.興味深かったのを取り上げると,個人のリスク認知と社会のリスク認知,統治者視点と当事者視点,“統計的・確率論的な見方”と“危害を受けるか受けないかの二者択一”,そして確率論的な数値の発信と理解です.
この章の最初の段落に書かれた,以下の記述も見逃せません(p.7).運動会と組体操,リスコミ,上一万(略)リスクに関する知識を提供すれば不安の軽減・解消が図れるとしてコミュニケーションを行ってしまうと、不信や不満など他の要素が増す場合があり、知識を共有するだけではリスクコミュニケーションとして不十分である。
実のところ,「教員の間で議論を重ね、夏休み中には府主催の組体操研修を受講し、安全の確保について学んできた。これまでよりピラミッドやタワーの高さを低くしたり、補助にあたる教員を増員したり、詳細な計画表をつくり、X日までに完成できない技はやらない等、安全性には最大限に留意して取り組」むことによって,リスクがどのくらい減っているのかを,きちんと示せる人は,現状ではいないように感じています.
組体操におけるリスク評価(の不在)について
負傷者・負傷率に関してであれば,今年の各学校の状況だけでなく,どのような低減策をとった(とっていた上で事故が発生した)かという情報も欠かせません.
ただ,研修を受講したり,サポート役に回ったりする,小学校の先生方は,何をすれば(怠れば)どんな事故につながりかねないかというリスクを,体感的に---理科の実験や家庭科の調理実習,あるいは校外行事などのリスクと,比較できる形で---持っているだろうと,想像もできます.
「組体操におけるリスク評価(の不在)について」を使って,まとめますと,リスク評価が不在なのは(十分に行えていないのは),組体操はすべきでないと主張する人々です.
小学校の先生方の間では,(略),学校内・学校間の人的ネットワークが,より影響力の強い要因となって,リスクとその(教師が行える)低減策を認識し,指導を行いながら意思統一を図り,運動会で披露させていた,と言えます.
(最終更新:2016-03-25 晩)