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「安全な組体操」の情報整理

これまで読んできた中から,「安全な組体操」を提案したり,「組体操成功のための工夫」を紹介したりしている文書を整理してみました.また末尾には,当ブログからの抜き出しをつけました.

書籍

DVD付き みんなが輝く組体操の技と指導のコツ (ナツメ社教育書ブックス)

DVD付き みんなが輝く組体操の技と指導のコツ (ナツメ社教育書ブックス)

子どもも観客も感動する! 「組体操」絶対成功の指導BOOK

子どもも観客も感動する! 「組体操」絶対成功の指導BOOK

組体操指導のすべて―てんこ盛り事典

組体操指導のすべて―てんこ盛り事典

8時間でできる!組体操の指導法 (教育技術MOOK よくわかるDVDシリーズ)

8時間でできる!組体操の指導法 (教育技術MOOK よくわかるDVDシリーズ)

組体操 (1972年)

組体操 (1972年)

続・組体操

続・組体操

論文・解説

文部科学省(旧・文部省を含む)の文書

組体操への言及はないが,有益な書籍

リスク 不確実性の中での意思決定 (サイエンス・パレット)

リスク 不確実性の中での意思決定 (サイエンス・パレット)

当ブログからの抜き出し

それと,上記のあとがきは,「タワーの技はやらないようにした」であり,ピラミッドの技については何も言っていません.同書の中で,最も段数の高いピラミッドは,55人ピラミッド(pp.144-145)で,三角錐型で7段のピラミッドとなります.横から見た55人の配置と,配置決めの指針,また成功に導くための細かな情報が載っていました.
55人ピラミッドは,昨年購入した本でも目にしています.(略)実施にあたっての詳細説明が少ない一方で,人数(そして段数)を減らした三角錐型ピラミッドの例が,同じページの下段に見られます.
出自の異なる2冊の本から,55段ピラミッドを成功させ,そのやり方を説明してあるわけなので,実施者(指導にあたった先生方)からすると,比較的「安全」な技だ,と判断することができます.

「組体操は危険だからやめてほしい」「やめます」の事例研究

どの出力にも,「この列に最も負荷がかかりますので、協力し合いましょう。」が1つずつ,入っています.これはgfload.rbの内部で計算した値を用いています.

組体操・人間ピラミッドの構築手順をRubyで

では,「心情的陶酔感を実感した人達の一部に、今度は、それをゴールにして移動大学をやろうとした人たち」が,組体操を指導する人々にいるだろうかと考えてみると…
ゼロとは言い切れませんが,体育指導に一定の力量があり,学校の児童らをよく見ることができ,子どもの言葉を拾い挙げて指導に活かし,他の教師らと連携して,運動会の準備・実施にあたってたりしている先生は,その立場になりにくいとも思っています.
逆に言うと,これまでの実績にすがり,児童それぞれの個性や日々の変化を見出せず,時間をかければ完成度は高められるの思いで一方的に指導し,他の教師を主導して運動会を計画・遂行している先生のところは,危ないぞとなります.

組体操(タワー)のマテメソ,そして心情的陶酔

新書はこのあと,教育委員会の見解や,教育としての組体操の問題点へと移っていきますが,個人的に,安全性とインパクトを両立させるような,組体操の技はあるのかなと検索していくと,1つ,気になるものを見つけました.
(略)
やり方は次のとおり(p.47).

「組体操は学習指導要領に記載がない」を起点に

4章には,さまざまな対比が整理されています.興味深かったのを取り上げると,個人のリスク認知と社会のリスク認知,統治者視点と当事者視点,“統計的・確率論的な見方”と“危害を受けるか受けないかの二者択一”,そして確率論的な数値の発信と理解です.
この章の最初の段落に書かれた,以下の記述も見逃せません(p.7).

(略)リスクに関する知識を提供すれば不安の軽減・解消が図れるとしてコミュニケーションを行ってしまうと、不信や不満など他の要素が増す場合があり、知識を共有するだけではリスクコミュニケーションとして不十分である。

運動会と組体操,リスコミ,上一万

実のところ,「教員の間で議論を重ね、夏休み中には府主催の組体操研修を受講し、安全の確保について学んできた。これまでよりピラミッドやタワーの高さを低くしたり、補助にあたる教員を増員したり、詳細な計画表をつくり、X日までに完成できない技はやらない等、安全性には最大限に留意して取り組」むことによって,リスクがどのくらい減っているのかを,きちんと示せる人は,現状ではいないように感じています.
負傷者・負傷率に関してであれば,今年の各学校の状況だけでなく,どのような低減策をとった(とっていた上で事故が発生した)かという情報も欠かせません.
ただ,研修を受講したり,サポート役に回ったりする,小学校の先生方は,何をすれば(怠れば)どんな事故につながりかねないかというリスクを,体感的に---理科の実験や家庭科の調理実習,あるいは校外行事などのリスクと,比較できる形で---持っているだろうと,想像もできます.
「組体操におけるリスク評価(の不在)について」を使って,まとめますと,リスク評価が不在なのは(十分に行えていないのは),組体操はすべきでないと主張する人々です.
小学校の先生方の間では,(略),学校内・学校間の人的ネットワークが,より影響力の強い要因となって,リスクとその(教師が行える)低減策を認識し,指導を行いながら意思統一を図り,運動会で披露させていた,と言えます.

組体操におけるリスク評価(の不在)について

(最終更新:2016-03-25 晩)