いきなりですが問題です.
あなたの経験した暗号解読の事例を,簡潔に説明しなさい.
ゴールデンウィーク前の授業のまとめテストからです*1.授業では暗号系(平文を暗号化して盗聴可能な通信路に送り適切な鍵を持っている者が復号して元の平文を獲得できるまでの流れ)のあと,シーザー暗号や単一換字暗号といった歴史上の暗号を取り上げ,そういった暗号は現在,安全ではない(暗号アルゴリズムとして用いるべきではない)けれども,「暗号文が多いほど,解読・理解のための手がかりを与える」というのは現代暗号の解読にも関わってくる知見であり,応用として,人の顔を覚えることや,未知語を理解することに役立てると良いと話しました.
といったところで解説です.
「経験した暗号解読の事例について,今回もいくつか,面白い答案がありました.
- ダイヤル錠の番号を総当たりで試し,開けた.
- 読めない手書き文字を判読した.
- 大学入試でシーザー暗号を解いた.
この解答例は,すでにPDF化して,授業ページから参照できるようにしています.
スライドを作るにあたり,何人かが書いていたけれど,入れるのはよくないなあと判断し,結局入れなかった答案もあったので,口頭で述べておきます.それは,スマートフォンのパスコードです.人のを操作してロックを解除したというほか,自分のが解除されていたというのもありました.
ここで暗号技術の利用目的を,考え直してみますと,古くは『秘密通信』と『認証』,と言われてきました.現在の用語では,それぞれ『機密性』と『完全性』に置き換えられ,そして『可用性』を加えて,情報セキュリティの三大要素と称するのは,初回授業でお伝えしたとおりです.
今朝9時締切の,単一換字暗号のレポート課題の出典は,『暗号 情報セキュリティの技術と歴史 (講談社学術文庫)』という文庫本なのですが,それによると,幕末のころにも『暗号』という二字熟語がすでに,使われていて,秘密通信というよりは認証のため,パスコードと同じくロック解除の話の中で,出てくるのでした」
(リリース:2016-05-19 早朝)
*1:「排他的論理和」の出題 http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20160515/1463263133 よりも1つ前です.