わさっきhb

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デはじ

「8ビットが1バイトとなること,それからキロバイト,メガバイト,ギガバイト,テラバイトといった単位を見てきましたが,これらはメインメモリやディスクドライブなどの記憶媒体に,どれだけの『0と1の並び』すなわちデータを持つことができるかを表すものです.
もう一つ,知っておいてほしいのは,そういった記憶媒体に書き込んだり,そこから読み出したり,計算機どうしで『0と1の並び』をやりとりしたりするのに,時間を要すること,言い換えると,『データ転送速度』も考慮しないといけないということです.
データ転送速度について,次の2つの単位を知っておいてください.まず,『1B/s』と書いて『いちバイト毎秒』と読みます.1秒間に1バイトのデータを転送するときの速さです.Bとsの間に書くのは,スラッシュの記号です.
もう一つは『1bps』で,「いちビーピーエス」と読みます.bpsはbit per secondの略ですので,1秒間に1ビットのデータを転送するというときの速さを表します.
とはいえ1B/sにせよ1bpsにせよ,むっちゃくちゃ遅すぎて実用的ではありません.実際には『3GB/s(3ギガバイト毎秒)』や『10Mbps(10メガビーピーエス)』などといった表記になります.なお,Mbpsは今回,データ転送速度の単位としていますが,動画の品質も,何Mbpsという形で表されることがあります.値が高ければ品質が高く,それに合わせて,機器や通信もよりハイスペックなものが要求されます.
データ転送速度を求めたり,その速度が分かっているときに何らかの値を求めたり,することができます.3つの計算例を,用意しました.
はじめに,『3GBのデータを30秒で送る』というとき,そこからデータ転送速度が求められます.式は3÷30=0.1で,答えは0.1GB/sです.
あるいは,『0.1GB/sの速度で30秒間,データを送る』のなら,そこからトータルのデータ転送量が計算できます.式は0.1×30=3で,答えは3GBです.
最後に,『3GBのデータを0.1GB/sの速度で送る』となると,そこから所要時間が算出できます.式は3÷0.1=30で,答えは30s…と書いてもまあいいのですが,これは30秒のことですね.
この3つの場面,そしてわり算・かけ算・わり算の式というのは,小学校で学んだ『速さ』の式とまったく同じです.『みはじ』または『はじき』なんてのを使って,求め方を覚えた人も,いるかもしれません.『みちのり』ではなく『データサイズ』ですので,『デはじ』と読み替えたいところです…
いえいえ,我々は大学で学ぶ者です.おそらく高校の理科,とくに物理で学んだ『次元』を活用すると,先ほどの3つの式を,間違えにくくすることができます.
『3GBのデータを30秒で送る』というときの式に,単位を添えると,『3GB÷30s=0.1GB/s』と表せます.
『0.1GB/sの速度で30秒間,データを送る』場合には,式は『0.1GB/s×30s=3GB』となります.
最後に,『3GBのデータを0.1GB/sの速度で送る』については,『3GB÷0.1GB/s=30s』です.この式は少しだけ注意が必要で,単位だけにすると『GB÷GB/s=s』です.左辺を\frac{GB}{GB\cdot s^{-1}}に変えてから,文字式と見なして計算すると,sの逆数の逆数だけが残って,これはsそのものだ,となります.
このように,式のそれぞれの値に単位を添えると,かけ算・わり算を使用することの妥当性がより明確になり,計算ミスも起こりにくくなります.
関連して一つ,知っておいてください.スライドでは『3GB』『0.1GB/s』のように,数と単位とをくっつけて書きましたが,英文や,日本語でも論文を書く際には,『30 GB』『0.1 GB/s』のように,間に空白を置くのが一般的です.
それでは,計算問題に取り組んでもらいましょう.…」