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1963年の組体操あそび

Amazonで「組体操」を検索して見つけた本です.マーケットプレースより届いた本の奥付には,「1963年10月30日 第1版第1刷発行」「1980年2月29日 第1版第9刷発行」とあります.
ドイツの本の訳書です.訳書のことば(p.7)には「本書の内容が組と体操とあそびの三つの要素からなりたっている」とあります.発刊当時は「組体操」という単語がなかったのかと驚きながら,読み進めると,同じページの最後の段落にこの語が出現しました.組体操の意図とも関わるところなので,書き出しておきます.

しかし組体操という名がつけられても純粋の体操ではない。体操のように目的をかかげ,この目的達成のために運動をさせるというのではなく,目的の代わりに遊戯的な課題を与え,生徒に自由に楽しくこの課題を解決させることによって,身体の基本的修練や運動能力を高めようとするところに主眼をおいている。

なお,本書の目的(pp.13-18)には「組体操」の語は見当たらず,代わりに「組運動」(p.15),「組み運動課題」(p.18)と書かれています.
そのあとの内容ですが,浜田靖一『組体操』*1と同様に,イラストと解説で構成されています.大部分が2人によるもので,少数ながら3人によるものもあります.2人で一緒に実施する,1人技もありまして(p.65),「ローソク立ち」という名前なのですが,これは,今でいう「肩倒立」「肩支持倒立」です.
肩車から頭を抜いてサボテン…と思いきや,この本では,少し違ったやり方になっています.肩車をした状態のイラストがp.92にあり,そこから上の者の足を下の者の膝上に置き,下の者が頭を抜いて,出来上がった状態は次のとおりです(p.93).

2人は手をつないでおり,これでバランスをとっているという図です.
肩車の前は,下に来る者は普通に立ち,上になる者は倒立をして2人の背中とお尻がくっつく状態になり,その足を,下に来る者が持っています.そこから勢い良く持ち上げて,肩車にします.一連の技には「倒立肩車前おり」という名前がついています(p.91).
サボテンに似た体勢だけれど,2人が向かい合って手をつなぐというのは,p.94に,また上の者が倒立をして手を下の者に置く(もう1人補助つき)というのは,p.95で紹介されています.
浜田『組体操』と同じく,運動会の組体操や,体育の体つくり運動に,ただちに取り入れられるとは言いがたいのですが,当時の「組運動」の一端を見ることができ,興味深く読み通しました.