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円と正方形と,五角形

いきなりですが問題です.

円Oと正方形OABCがあり,その半径と1辺の長さは等しい(点Aおよび点Cは,円Oの円周上にある).さらに,点Dおよび点Eはともに,正方形OABCの内部,そして円Oの円周上にあり,AD=DE=ECを満たすものとする.このとき,五角形ABCEDの面積は,正方形OABCの面積の何倍か.

図にします.

五角形の面積の公式,というのを学んだ記憶はありませんので,五角形ABCEDを三角形に分割したいところです.具体的にはBとD,BとEを結んで,三角形BAD,三角形BDE,三角形BECに分け,それぞれの面積を考えるのは,どうでしょうか.この場合,三角形BDEの面積が,容易に計算できそうにありません.
ですが別のところに補助線を引くと,小学校の算数の知識で,面積が求められます.OとD,OとEを結びます.

このとき,三角形OADは,OA=ODの二等辺三角形です.そして,三角形OAD,三角形ODE,三角形OECは,いずれも合同です.そうすると,角AOD,角DOE,角EOCの大きさがいずれも等しく,その和(角AOD+角DOE+角EOC=角AOC)は90度ですので,角AODは30度です.
では,三角形OADの面積は,正方形OABCの面積の,何倍でしょうか.それを知るために,もう一つ,補助線を入れます.AとEを結びます.そしてODとAEの交点をFとします.

三角形OAEは正三角形です.なぜなら,OA=OEかつ角AOE=60度だからです.次に,三角形OAFと三角形OEFは合同であり,AF=EFですので,AFの長さはAEの長さの半分,そして(AE=OAなので)正方形の1辺の長さの半分となります.あとは角度ですが,三角形OAFに着目すると,角AOF=30度,角OAF=60度ですので,角OFA=90度です.これは,三角形OADの面積を求めるにあたり,ODを底辺としたときAFがその高さになることを意味します.ということで三角形OADの面積は,OD×FA÷2=(正方形の1辺の長さ)×(正方形の1辺の長さの半分)÷2となり,整理すると,正方形OABCの面積の4分の1となります.
三角形ODE,三角形OECも同じ面積ですので,五角形ABCEDの面積は,正方形OABCの面積から,「正方形OABCの面積の4分の1」の3つ分を取り除けば求められまして,これもまた,正方形OABCの面積の4分の1となります.


この記事の内容は,少し前から頭の中にありました.2つの辺の長さがaで,その挟む角の大きさが30度のとき,その三角形の面積は,もちろん高校で学ぶ三角比により\frac12a\cdot a\sin 30^{\circ}\frac14a^2と求められるのですが,三角比なしでも,2つを隣り合わせると正三角形ができることから(したがって小学校の知識で),計算できるのでした.
この図形を,大学教育・情報(プログラミング)教育に大学入試のアレンジするなら,こうでしょうか.2点D,Eを,正方形OABCの内部,そして円Oの円周上で自由に(ただしA,D,E,Cの順に円周上で並ぶものとして)動かしたときの,五角形ABCEDの面積の上限と下限です.上限*1は,DがAに,EがCに限りなく近づく状態であり,これは三角形ABCの面積を考えればよく,正方形OABCの面積の2分の1です.下限(というか最小値)となるのが,本日の問題のような位置にあるときであれば,数学的に美しいのですが,それを証明するには至っていません.

(最終更新:2016-09-25 夕方)

*1:「最大値」でないのは,DがAと,EがCと重なるとき,「五角形ABCED」ではなくなってしまうためです.