プレジデントFamily 2017年 01 月号(2017冬号:算数が1週間で得意に! )
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2016/12/05
- メディア: 雑誌
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書き出します.
18 答え合わせを母がする場合、どこまで厳しくすべき?
「本当にわかっているかどうかを確かめるのが、答え合わせの目的です。ですから、式もきちんと見て丸付けしてほしいです。たとえば、『8人にペンをあげます。1人に6本ずつあげるには、何本いるでしょうか?』というような問題では8×6=48とあったら誤りで、6×8=48が正解です。なぜなら、同じ数ずつ配る掛け算は、『配る数(6本)』を『何倍する(8人)』と考えます。つまり、6×8。実はこれは『もとにする量×割合=比べる量』という割合の考え方につながる。ここが身についていないとあとで分数や比の理解で混乱します。式は英語でmathematical sentenceと呼ばれます。数学的文章であり、状態を正しく表現できていないといけないのです」(大澤先生)
回答者は,学習院初等科 教頭の大澤隆之先生です*1.1から20までは「基礎の基礎編」で,黄色の背景色になっています.後ろの番号では,筑波大学附属小学校 算数科の大野桂先生も回答しています.
回答文中の文章題は,2年で学習するものですが,後半に「もとにする量×割合=比べる量」という言葉の式(学ぶのは5年)が入っているのは,興味深いところです.「算数特集」は,学校の算数教育というよりは,中学受験の比重が高く(例えばpp.16-27で読める「つまずき」とその対処法では,6つの事例のいずれにも,中学受験が関わっています),そこと算数教育の系統性*2とを結びつけようとすると,上記の回答になる,といったところでしょうか*3.
なお,「8人にペンを…」から始まる文章題の画像を載せた,批判的な文章は,6×8は正解でも8×6はバッテン?あるいは算数のガラパゴス性:プロジェクトマジック:オルタナティブ・ブログにあります.それに対し,ベネッセ・進研ゼミ小学講座の方による回答で,間違いとするのを支持し,割合の考え方への拡張も理由に挙げているものは,5人に飴を4個ずつ配ると飴はいくつ必要か 赤ペン先生回答│NEWSポストセブンより読むことができます.今回の件と合わせて,いずれも12月というのは,不思議な縁です.
取り急ぎ,この件をかけ算の順序を問う問題にも書いておきました.
*1:教育出版の算数教科書の著作者にも,名前が入っています.
*2:今年出された文書で,「割合」「系統」がともに記載されているのは:http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-t228-4.pdf#page=12
*3:些末な,おそらくは編集レベルの話として,です体の文章の中で「つながる」だけが,である体になっているのと,sentenceが「se」で改行されているところ(分節としてはsen・tenceなので,「sen-」で改行すべき)は,少々気になります.