わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

アクディブライティングで,be動詞は一般動詞に

いきなりですが問題です.次の日本語と英語の文について,より適切な表現になるよう,書き換えてください.

この物質は塩と水である.
This material is water and salt.

いつものように元ネタです.以下の本のp.129です.

といったところで解答です.日本語は,「この物質は塩と水からなる.」または「この物質は塩と水で構成される.」と書き換えたいところです.英語のほうは,be動詞をconsist ofに置き換えまして(三単現にも注意し),"This material consists of water and salt."でしょう.
本を開き,次のページを見て,答え合わせをすると,英文は完全に一致していました.日本語のほうは,「…から成っている」でした.
ここまで見てきたページは,第7章で,章題は「英語で読み書きする」です.
自分が指導している範囲では,学生に,英語で書くことを要請していません.学会発表で英語アブストラクトが必要な場合でも,その作成に学生の労力を注ぎ込むべきではないので,本文や日本語梗概がある程度できた段階で,自分が英訳します.修士論文の概要につける英語のアブストラクトとキーワードは,日本語を機械翻訳して,本人が修正し,指導教員(自分)が修正するという流れです.
またp.133の途中に書かれた3行の英文で,現在完了形・過去形・現在形・未来形のすべてが出現しているのは,時制の違いが知る上で分かりやすいと思いました.とくに,2番目の文において,主節は過去の事実なので過去形,becauseから始まる従属節は科学的な事実なので現在形となっているのは,大事なところです.
第7章全体を読みまして,自分の知識と異なるところはありませんでした…と思いきや,1つ違いがありました.単著で著者自身を指す際にはthe authorとし,繰り返しを避ける際にはheまたはsheを使う(p.130)とありますが,自分は単著でもweをよく使います.研究成果は「みんなのもの」という考え方があるからと,どこかで読んだことがあります.もちろん単著ではthe author,共著ではthe authorsと使い分けますが,使用頻度は高くありません.


書名の「アドバンストリテラシー」について,その必要性*1がもっとも明快に書かれたのは以下の箇所です(pp.3-4).なお本書でしばしば「君たち」という言葉を用いて,想定読者が学生であるかのような書かれ方をしていますが,どう考えても,この本の想定購入者は大学教員です.

アドバンストリテラシーについてもう少し理解を深めるために,講義や実験の「レポート」について考えてみよう.これらの「レポート」の読者は,その講義,実験の担当教員(複数の場合もある)である.担当教員は,そのレポートにより,君たちがどのくらい理解しているのか,君たちがどんな実験をしてどのような結果を得たのか,ということを確認している.担当教員は「レポート」に書かれている内容については,おおよそなことを知っていることが多い.つまり,“たぶんこんなことを書いているのであろう”,“この部分はこの意味だろう”などと予測しながら読んでいる可能性も高いことになる.
では,これから作成していく「ドキュメント」(卒業論文,学会投稿原稿)はどうであろう.まず,これまでのように(君たちが書いてくるであろう事を予測する親切な)担当教員だけが読むような「レポート」とは基本的に違う性質がある.
それは潜在的には「万人」や「不親切な第三者」が読者となる可能性があることである.(略)結果的に,これまでは担当教員が気がつかなかったり,甘めに解釈してくれたりした次のこと

  • 導出した式の表記の間違い
  • 実験やシミュレーションのグラフの誤り
  • 引用文献の記載ミスや記載漏れ
  • 幾通りに読めるような文章
  • 論理的に筋道が通らない文章

が,他の誰かから指摘される可能性が高くなるのである.

*1:定義は,引用のすぐ上に書かれています.