わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

「提出しました。ご確認ください。」

同情/締切の前でも後でも、学生が教員に「ご確認ください」と書くのは違和感あり/ビジネスだったら「よろしくご査収のほどお願い申し上げます」かなあ/自分は来週、レポートのメールを待ち受ける

http://b.hatena.ne.jp/takehikom/20120613#bookmark-97609014

next49さんのコメントが出るまで,“締め切り後の提出を認めるか”の話だと思っていました.
思い出すことがあります.何年か前,担当科目(情報セキュリティ)で暗号解読のレポート課題を出したときのことです.
答案提出は,ある日の授業開始から5分までとしていました.授業の途中や終了後の提出は,採点の対象としませんよと強調し,授業のWebの情報でも提示していたのですが,それでも,授業後に「受け取ってください」と,持ってくる学生がいます.
そんな学生に対して,
「うーん,今から言う2つのうち,どっちかを選んでくれるかな.一つは,レポートを持って引き下がる.もう一つは,私は受け取るけれども,採点の対象とはしない.…どっちにする?」
と聞くと,「点数なしでいいので,受け取ってください」となります.まあ学生としても,せっかく作ったんだし見てもらいたいという実直な気持ちや,もしかしたら,厳しくおっしゃてるけど温情があるかもなんて期待も,あったのかもしれません.
今年も暗号解読のレポートは終わりましたが,期限を決めて,レポート提出ボックスに入れさせるようにしています*1.というのも,授業開始時に提出してもらった日の授業は,それ以外のときよりも,授業に集中しない学生があまりにも多いことに,気づいたからです.レポートを完成させて疲れ果てたでしょう.
昔話はここまでにして,“「ご確認ください」という言い回しは、締切後提出を報告する場面に適切なものではない”を,自分なりに考えてみることにします.
とりあえずそれを教育の話とするならば,cover sheetとして何を書くべきかということだと思います.
大学教員であれば,論文投稿時に付ける手紙文です.他の所属や学内の部局などへ送付するときにも,相手に応じた何かを添えることになります.
学生から教員へ,添付ファイルでメールを送る場合には,メールの本文がcover sheetの役割を果たします.
そうしてみると,送付状に「ご確認ください」は不自然であり,曖昧です.教員のすることは

  • (期限を含む要領は棚上げして)受け取ったのを確認すること

なのか,それとも

  • (期限を含め)要領に従って提出しているのを確認すること

なのかが,判然としないのです.
ここで,“受け取ったのを確認すること”(あるいは“提出したという事実の報告”)を意図するのならば,ビジネス向けの表現があります.「よろしくご査収のほどお願い申し上げます」です.
「よろしく」の位置は,「お願い」の直前にすることも可能です.「ご査収」があまりにもお堅く,官僚的に思えるなら,「ご笑納」という書き方もあります.ただし,くだけすぎです.そう書いていいのは,食べ物を贈るときくらいでしょうか.
ただそれでも,学生から教員へメールを送るときに,「ご査収」も「ご笑納」も不自然です.曖昧だからではなく,その関係性に適した表現ではないのです.
対案としては,next49さんが本文で書いたのがともに良い例になると思います.構成として,それらを超えるものは思い浮かびません.
ただ細かいことですが,「お忙しいところ失礼いたします。」は,なくてもよさそうです.授業なら科目名を真っ先に挙げ,そのあと,何をしただとか,教員にどんなことをお願いしたいのかを,書いていくのがいいかなと思います.
それと追記ですが,「ご〜ください」が敬語として正しくても,学生から教員に「〜ください」と書くのは,危うい表現だとも思っています.言い放った表現であり,教員によってはカチンとくるかもしれません.かつて,「欠席させていただきます」が,「自分の一存で欠席を決めました」という一方的な通知になりかねない,と書いたことがあります.
「ご〜ください」の対案としては…

  • 〜してくださいませんでしょうか
  • 〜していただけませんでしょうか
  • 〜をお願いしてよろしいでしょうか

が思い浮かびます.ただいずれも,文が長くなります.
最優先でお願いしたい項目だけ,このように記し,細かい依頼内容のところは,「ご〜ください」を入れたり,体言止めの箇条書きにしたりするのが良いかなとも思います.

*1:ボックスは学科事務室の前に置いてあり,期限後に開けるのは,教員ではなく学科事務の方です.