某年月日,夕食をとって2階の寝間の,ベッドの掛け布団の上でぐてっとしました.下からママの声も聞こえたのですが,1回目は眠気が勝りました.
2回目の「パパ,おふろ! すえの子ちゃんと!!」のときは,怒りが混じっていました.
着替えを持って階段を降り,脱衣所から風呂場を見ると…
浴槽に,なみなみのお湯が注がれています.ブルー・ウォーターです.いや正確には,ブルー・ホット・ウォーターです.写真に撮って若き日の過ちと題し飾っておきたい衝動に駆られました.もちろんカメラは持ち合わせていませんし,そんなして飾ることこそ若き日の過ちになってしまうなと思いながら,我に返り,すえの子を呼びに行きました.
再び脱衣所で…
「あれ? パパ,どしたん?」
「お風呂なぁ…お湯を止めるの,忘れてて,あふれてしもたんやろな」
「入っていい?」
「いやあかんねん.そこにお前が入って,あふれてお湯が出たら,お湯の無駄遣いになるからな.今日わはシャワーを使わんと,このお風呂のお湯で,体を洗うんやで」
「おふろのおゆでぇ?」
「せや.それとな,一番風呂はたいてい,熱いねん.お湯,手ぇで触ってみな」
「(手を浴槽に入れて)あつい」
「熱いよなぁ.かといって今,水を入れるわけにもいかんし.せやから洗面器でお湯をすくって,そのほうが冷めやすいからな,んでそれを体にかけて,汚れを取りながら,我々の体を,このお湯の温度に慣れさせていったらええんや」
ここまでパパの言うのが長くなると,すえの子は,聞き流すモードに入ってしまいました.
ともあれすえの子とパパ,2人の体を洗い,浴槽の湯が減ったところで水を足して適温にし,なんとか入れました.パパは10秒で出ました.