- 出版社/メーカー: 北畑海苔店
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「残り5枚…いや,もうちょっとあるかな.この120枚入りのパック,最初こそパリパリやけど,終わりのほうはいっつも,湿気るんよなあ…」
「お,すえの子か.この海苔,分かるか」
「のりほしい」
「そこかい.まええわ.これな,くっついとんねんな.で,パパがこれをうま〜いこと剥がしてみるけど,途中で切れたら,そこまでな」
「そこまでって?」
「切れた分まで,お前にやるから」
「きれやんかったら?」
「途中で切れんと,1枚分がきれいに剥がれたら,その1枚,お前のもんや」
「やったぁ」
「見ときや…(ゆっくり,剥がしていって)…お.途中で切れへんかったな」
「くれるの?」
「予告通り,やるぞ.ほい」
「パパ,ありがと〜」
「ふう.それでもまだ6枚,あるんかな.1枚ずつ剥がして,あったかいご飯に乗せて食べよかな…」
「んん〜,パパの右肩に,アゴを乗せたんは,誰や?」
「….誰や?」
「あとのこやで」
「あとの子が,何やて.って,海苔ほしいんやな」
「のりほしい」
「ほいほい.すえの子とおんなじように,剥いちゃるからな.…」
補足:
- パパは朝食時,白いご飯と一緒に,味付海苔を5枚食べます.
- 子らはパン食ですが,海苔も食べたがります(誰かが食べているものを,食べたがります).そこでパパは,ある日は1人に1枚渡し,別の日は1枚を割って配ります.
- そうすると子らは,1枚もらうことを望みます.そんな状況での,親子の「せめぎ合い」を,ブログ記事にしているのでした.
- 標準語では「切れない」とする言い方について,大阪で生まれ育ったパパは,「切れへん」と言うのに慣れてしまっています.和歌山生まれのすえの子は,「切れやん」となります.