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大学1年生に伝えた,年と年度,平成と令和

「令和になって最初の1年セミナーですので,一生ものの知識をいくつか,みなさんにお知らせしたいと思います.
 まず知っておいてほしいのは,『年』と『年度』の違いです.話を簡単にするため,西暦年で考えると,今日は,2019年5月○日です.年と,月と,日という,3つの数値情報を並べると,日付が特定できます.当たり前のことです.
 もう一つ,当たり前のことを確認しておくと,年の最初は1月1日で,年の最後は12月31日です.
 それに対し『年度』という言葉も,日常,よく見かけます.我々の学校行事においては,『年度』は,4月1日に始まり,翌年の3月31日までとなります.これは『学校年度』とも呼ばれます.
 もう一つ,よく知られたナントカ年度には,『会計年度』というのがあります.会計年度も学校年度と同じ,日本ではですが,4月1日スタートの翌年3月31日エンドです.
 みなさんが,一つの文書に,年と年度の両方を書く機会は,卒業論文執筆のときに発生します.留年しなければ,2023年3月に卒業となるわけですが,そうするとおそらく,『2022年度』の卒業論文を,『2023年2月』に提出することになります.
 例年,何人かに1人は,年と年度の数を同じにして,提出してます.『2022年2月』と書いてあったら,これ1年前かいなと,読んだ先生がぼやくかもしれません.
 1月から3月までは,『年度は,その年から1減らす』と考えると,間違えなくてすみます.それと,年度については月や日を付けないことも知っておいてください.『2022年度2月』,とはしません.
 ここまで西暦で考えてきましたが,平成や令和といった和暦でも,基本的には同じことです.
 みなさんは平成31年4月の入学ですから,『平成31年度入学』です.平成最後の入学と言うこともできます.
 しかし『令和元年入学』ではありません.令和最初の大学入学者は,本学の場合,秋入学はありませんので,来年4月の入学者,ですので,みなさんの1年後輩に対するものとなります.
 平成31年度は,平成31年(2019年)の4月1日から,翌年の3月31日までとなります.じゃあ残り約11か月,ずっと『平成31年度』の文字を見かけるのかというと,実はそうではなく,今後は『令和元年度』に取って代わります.
 というのも政府が,『改元に伴う元号による年表示の取扱いについて』という文書を公開していまして*1,そこで,令和になった今月以降,『平成』の文字が残っていても有効になることが書かれています.ですが,その文書でもっとも重要なのは,そこではなく…会計年度の名称は,原則として,改元日すなわち今月1日以降は『令和元年度』とすることを,明記しているのです.
 これにより,会計年度にとどまらず,学校や自治体,社会の色々なところでも,『令和元年』や『令和元年度』を見ることになります.
 平成31年度は,西暦年を使うと,2019年4月1日から,2020年3月31日までとなるのに対し,令和元年度は,2019年5月1日から,2020年3月31日までとなる*2点にも,注意しましょう」

Q: 1年セミナーは,月曜1限だっけ?

A: 時間割はそうなのですが,月曜日は祝日・休日が多く(そして本学ではそういった日に授業を実施しないので),通常の日程だと,月曜日の授業回数が足りません.そこで,「代替授業日」が定められており,昨日は,大学全体で,月曜授業の日となっていたのでした.

Q: 西暦・和暦で何か研究している?

A: 「聖教書誌情報全文検索システムの構築」というタイトルで,2008年に論文を出したことがあります.西暦年を和暦に変換して全文検索できるようにしたほか,暦日対応に関する文献を引用しています.
 論文は現在,オープンアクセスになっています.以下よりどうぞ.

*1:http://www.soumu.go.jp/main_content/000612239.pdf#page=6

*2:どうやらこれは間違いです.https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61320には「これを見ると、5月からは国の予算上は、「平成31年度」ではなく、(4月も含めて)「令和元年度」と表示することになる、ということだ。」と書かれています.2019年4月1日から,2020年3月31日までの年度を,2019年5月1日以降に(国の予算における会計年度の名称として)表記する際に「令和元年度」を用いる,というのが正確なところです.