「ねえ,ママ」
「どしたの,うえの子ちゃん」
「学校で,ラジオ体そうのカードっていうの,もらってん」
「7月と8月のカレンダーが書いてあるんやけど…」
「そこに,スタンプ押すんやね」
「あれか,夏休みにラジオ体操で朝,集まるっちゅうやつか」
「そうやね」
「えー,そんなんあるの?」
「うちの近所で,やってるんか?」
「やってないんよねえ」
「あとねえ,カードに,ラジオ体そうの歌っていうのが,書いてあるんよ」
「うえの子よ,歌えるか?」
「うん,歌えるよ.あーたーーらしーいーあーさがきた♪」
「(お,出だしは順調やないか)」
「きーぼーーぉの,あーさーーだ♪」
「(ん? メロディが少し違うが,許容範囲か)」
「よーろこーーびにむねをひーーらけ,おーおぞーーらあーおーげーー♪」
「(たしかこの歌,1番に2回『開け』が出てくるんやったよな)」
「…」
「お? つっかえたか?」
「歌うよ.らーじーーおーのーこーーえに♪」
「わはははは」
「パパ,笑わんといてよ」
「いやすまんすまん.『あーたーーらしーいー』のメロディで歌いおったから,意表を突かれたんや」
「パパこっから歌えるの?」
「歌えるよ.らーじおーーのーこーえにーー♪」
「らーじおーーのーこーえにーー♪」
「すーこやーーかなーむーねをーー♪」
「え? なんでパパ知ってるの?」
「そら今も6時半からラジオで鳴ってるし,パパが小学生のころ,近所のラジオ体操のん行って,歌って体を動かして,スタンプ押してもろてたんやから」