「先日,面白いツイートが投稿されました.
1枚の画像なのですが,東大のサーバルームはこんなの,京大は,阪大はときて,いずれも格好良く見える写真です.
最後に『和大』です.そこに添えられた写真は,PCショップで売ってそうなデスクトップPCの側面を外して,扇風機で冷却を試みているように見えます.
プロフィールを見ると,このツイートをしたのは,和歌山大学の学生なのが分かります.この授業に出席している中に,投稿した人がいるかもしれません.
さて…
4つの写真が,それぞれの大学の実態を表したものではないのを,当然のこととして,それでも,この写真からいくつか,思うことがあります.
一つは,東大・京大・阪大と,和歌山大との間に,学会において厳然とした違いがあるということです.
電子情報通信学会という,情報処理や情報通信,ソフトウェア・ハードウェアを含め,『情報』に関する日本で最大の学会があります.その学会で,研究発表をしようとします.
そのとき,発表者にカッコ書きで添えられる所属について,東大は『東大』,京大は『京大』,阪大は『阪大』と略記されます.東京から始まる大学が,国内に多数,あるけれども,『東大』と書かれたら,東京大学なのです.
それに対し,所属が和歌山大学の場合は,どうかというと,『和大』ではありません.『和歌山大』になります.
日本における知名度,認知度の違い,というのが,こういったところに現れているわけです.
もう一つ,思ったのは,そのツイートからにじみでる,『自校コンプレックス』です.
私自身が大学に入学した直後のことです.あ,和大ではありません.学科の先生方が寄せ書きをして,って色紙じゃないですよ,横書きの文章で,先生ごとに分量はさまざまです.
そこである先生が,学生の気質について,書かれていました.いろいろな大学の学生が集まって,あるテーマに対してブレインストーミングを行い,取りまとめてグループの答えを作るという作業をしたとき,ブレインストーミングで最も意見をよく出すのは,早稲田大学の学生というのです.次に取りまとめをする際には,東大の学生がよくできるとしています.
うちの大学の学生は,意見出しにおいても,取りまとめにおいても,早稲田と東大の学生に遅れをとる,というのがこの小話の落ちになっています.
そういった文章を読んで,自分の入った大学の学生はこういう気質だ,そして早稲田でも東大でもないんだ,というのは,それなりに理解できましたが,その一方で,早稲田の学生や東大生を目指せ,あるいは彼らに匹敵する発言力・まとめの能力を,身につけて大学を卒業せよと,言っているわけでもなかったのです.
結局のところ,入った大学で,教員や学生とコミュニケーションをとり,書籍や論文をはじめとする,学びの材料を糧にして,これから自分が何を学ぶか,どんなことをして,ここの大学の学生になるのかの覚悟を問うメッセージに,思われたのです.
乱暴な対比なのを承知の上で,ツイートの,東大京大阪大和大の写真からも,発信者の覚悟を,見出すことができました.
まあ実際には,そういった覚悟というよりは,4つの大学を並べた自虐的なおかしさから,数千の『いいね』がついたのだとも,思うのですけどね.
それでは授業に入りましょう.Moodleより,資料のPDFファイルを見てください.本日のテーマは,暗号化などで使用される『鍵』,それを生成するための『乱数』,そして理論から実用へ向けるための第一歩として『公開鍵基盤(PKI)』です」
東京大学は東大で和歌山大学は和歌山大の件
機関名と略称の表の中に,「京都大学 京大」「東京大学 東大」があります.
阪大については表ではなく,「原則として大学の学を除くこととし、大阪は大をとり阪とすることとする。」のルールに基づきます.
過去問
- https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1906/14/news012.html
- https://www.eg-secure.co.jp/company/profile/
- http://www.ritsumei.ac.jp/ise/teacher/detail/?id=95
- 国内のセキュリティ事例でよく名前の出る人
- 必ずしも名前が表示されない多くの人々がセキュリティに関わっていることも忘れずに