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データと情報の違い:身体測定結果を例に

 授業の前に問題です.

 子ども(小4女)の4月の身体測定結果を受け取りました.身長は132.5cm,体重は31.7kgでした.
 平均は,133.3cmと30.3kgだそうです.
 ひょっとしてうちの子,ぽっちゃり型?

 では授業です.
「『データ』と『情報』を,区別して理解しましょう.
 データは,IT(情報技術)の分野では,コンピュータが記録・処理できるように形式化、符号化されたもののことをいい,基本的に数字や文字で表されます.
 それに対し,情報は,『ある物事の内容や事情についての知らせのこと』であり,『状況に対する知識をもたらしたり,適切な判断を助けたりするもののこと』です.情報とは,『価値のあるデータ』のことだ,と言うこともできます.
 ここで,ある児童・小4女子の,身体測定の結果を例として,データと情報の違いを見ていくことにします.
 身長は132.5cm,体重は31.7kgだったとします.
 このとき,132.5が,『身長のデータ』となり,31.7kgが,『体重のデータ』となります.
 なのですが,この2つのデータだけでは,太っているのか,やせ型なのか,標準的なのかといった,『情報』を得ることはできません.
 そこで『肥満度』を求めることにしましょう.肥満度は,(体重−標準体重)÷標準体重×100で求められます.標準体重は,(身長-100)×0.9です.
 単位は除いて考えます.身長が132.5なら,標準体重は32.5×0.9で,29.25です.そうすると肥満度は…8.4です.これには単位を添えておきましょう.『8.4%』です.
 肥満度については,+20%以上が軽度肥満とされています.ですので,この結果からは『太っているとはいえない』という結論,これが情報ですね,が得られます.
 肥満度と別の尺度として,大人なら,ボディマス指数BMI)を使用しますが,小中学生の場合にはローレル指数です.体重÷(身長÷100)の3乗×10で求めます.
 この式に,身長=132.5,体重=31.7を当てはめますと,136.3と出ます.
 ローレル指数においては,115から145までが『ふつう』,145以上が『太っている』とされます.ここからも,今回の小4女子の,身長と体重から知ることのできる情報は,『太っているとはいえない』となります.
 ある統計で,全国の小4女子,より正確には女子9歳児の平均値について,身長は133.3cm,体重は30.3kgであることを知ったとします.
 132.5cm・31.7kgの子どもと,この全国平均とを,比較したとき,132.5<133.3,31.7>30.3というのは,疑いの余地がありません.
 しかしこの大小関係は,太っているかそうでないかについての『情報』を与えるものではありません.かわりに,肥満度やローレル指数が,日本では採用されてきたわけです.
 ともあれこの不等号も含めて,情報として表現するなら,ここまで見てきた女の子については,『平均より少し低くて重いが,肥満ではない』と言えばいいのです」

なにこれ

 先週木曜の授業の一部です.2枚分のスライドに,ナレーションをつけて動画にし,学生に視聴してもらいました.
 と言いたいのですが,授業資料と,上記の話とで違うところもあります.資料では「小4男子」とし,「小4男子の平均は133.5cm/30.5kg」と記載していました.これは昨年度の授業資料をそのまま使用しました.
 「全国の小4女子,より正確には女子9歳児の平均値について,身長は133.3cm,体重は30.3kg」という統計は,以下よりダウンロードできるPDFファイルに書かれていました---このデータの男子9歳児では,「平均より重い」が言えないのでした.

 肥満度とローレル指数については,授業の準備中に以下のページを知り,授業ページ(Moodle)からもリンクしました.