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タイピングによるプログラミング学習の利用を促す試み

 2022年電子情報通信学会総合大会にて,「タイピングによるプログラミング学習の利用を促す試み」というタイトルで,発表しました.
 タイピングによるプログラミング学習の機能追加および授業実践の件と,内容面で重なります.今年度,研究室の4名の学生がそれぞれ「タイピングによるプログラミング学習」(LbTyping)の改良を行い卒業論文に取りまとめました.本日発表分は,1名の卒業研究の途中段階の内容を1ページに,また「機能追加および授業実践」は,残り3名の内容を2ページにして,全国大会で発表したのでした.
 「利用を促す試み」として行ったのは,「ランク表示機能」の実装です.音楽ゲームを中心に,1回プレイすると,成功・失敗などの詳細情報に基づき,大きな文字でAとかDとか表示されるものを,プログラミング学習支援システムに適用し,1回分の振り返りと,やり込みを促したのでした.
 本研究では結果をA・B・C・Dのいずれかで表現することにしました.利用した情報は,1回分のタイプ時間と誤タイプ数です.お題によって決まる入力文字数を定数倍して,「タイプ時間の閾値」「誤タイプ数の閾値」を設定し,概念的には以下の図のように,AからDまでを割り当てた,というのが第1案です.

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 発表スライドの箇条書きに,具体的な条件を記し,その下に,第1案が適切でなかったことを,小さめのフォントで追加しました.適切でなかった理由は2つあります.一つは,この基準で実施したところA・Cが非常に少なく,タイプ時間の閾値が厳しめだったこと,もう一つは,時間がいくらかかっても誤タイプ数が0のとき,Bとするのは良くないと判断したからでした.
 その次のスライドで,最終案を示しました.先ほどの概念図が,次のように変わりました.

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 AとB,CとDを分ける,タイプ時間の閾値を,第1案の3割増しにしました.そしてその閾値の2倍の時間を超える場合には,誤タイプ数が小さくても,Bではなく,Dと判定することにしました.
 今年度に作成して授業で実施してもらった17問それぞれについて,タイプ時間・誤タイプ数の散布図を作成して色分けを行うとともに,各ランクが何件*1あるかを数えたところ,件数はD>B>A>Cとなる問題が多くなりました.また「やり込み」に関して,同じ学生が1つの問題を複数回実施したときの「最初のランク」と「最良のランク」を取り出して表にしたところ,最初がCまたはDだったとき,やり直して,CからはAへ,DからはBやAへと,より上位のランクに進む傾向が確認できました.


 発表プログラムを見て,驚いたのは,セッションが13時開始で8件,座長が替わって15時開始で8件,となっていたことです.1件あたりの発表時間は質疑込みで15分なので,座長が替わる間に休憩時間がありません.また発表時に誰かがちょっとつまずいたり,質問で延長してしまったりすると,時間を超過してしまうことになります.
 このことは13時開始の座長も把握されていて,時間厳守を発表者らに要請するとともに,質問が出なければ早めに終了していました.

*1:1つの問題を同一学生が複数回実施した場合には,散布図上で異なる点として表されるので,「人数」ではなく「件数(点の数)」を数えました.散布図を見ながら点をカウントしたのではなく,散布図を作成するための,データベースに格納されている解答データをもとに,集計したのでした.