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三角形,3つの正三角形,そして平行四辺形

 いきなりですが問題です.

△ABCの各辺を,それぞれ1辺とする正三角形ABD,BCE,ACFをつくる時,四角形ADEFは平行四辺形であることを証明せよ

 元ネタは,以下の本のp.144です.

 先日,書店で購入し,Amazonで書名などを確認すると,「最後にこの商品を購入したのは2017/7/22です。」と表示されました.衣装ケースに入れた本の中に,同じものがあるはずです.
 問題を見て,頭の中で図形を思い描きました.△ABCを真ん中に置き,各辺に対して外側に正三角形を隣接させて,外に出た3つの頂点,それをAを結ぶと…平行四辺形になるはずがありません.
 こうです.

 平行四辺形の性質の一つに,「向かい合う角がそれぞれ等しい」があります.しかし上の図の∠DAFについて,これは∠BAC,∠DAB,∠FACの和で,後ろ2つが60°ずつなので,和は120°を超えます.向かい合う角すなわち∠DEFは,鋭角です.向かい合う角を等しくするのは,無理があります.
 原文を読み直すと,「証明せよ」の直後に「(次図)」と書かれています.次のページの図は,以下のようになっていました(原文はモノクロです).

 正三角形BCEだけ,△ABCの外側ではなく,その反対側に作っていました.頂点AとEが,直線BCに関して同じ側にあります(他の正三角形では,DとCは直線ABに関してそれぞれ反対側にあり,BとFも直線ACに関してそれぞれ反対側にあります).
 「△ABCの各辺に対し,この図のように,正三角形ABD,BCE,ACFをつくるとき,四角形ADEFは平行四辺形であることを証明しなさい」に読み替えて,検討し直します.見た目は,平行四辺形です.証明するには,「向かい合う辺がそれぞれ等しい」を使うのがよさそうに見えます.10秒ほど,凝視していると,△ABCを,頂点Bを中心として回転移動させれば,△DBEに重なることに気づきました.そうするとDE=AC=AFです(等号の左側は三角形の合同,右側はACFが正三角形であるため).
 しかし回転移動は証明に使いにくいので,三角形の合同で考えました.次のようになります.

 △ABCと△DBEについて,
 △ABDは正三角形なので,AB=DB。
 △BCEは正三角形なので,BC=BE。
 ∠ABC=∠EBC-∠EBA=60°-∠EBAであり,
 ∠DBE=∠DBA-∠EBA=60°-∠EBAだから,∠ABC=∠DBE。
 2つの辺とその間の角がそれぞれ等しいので,△ABC≡△DBE。
 したがってAC=ED。
 また△ACFは正三角形なので,AC=AF。
 これらからAF=DE。

 同様にして△ABC≡△FECが示せます.EF=BA=DAとなり,四角形ADEFは「向かい合う辺がそれぞれ等しい」ので平行四辺形なのが言えました.
 原文では図のすぐ下に,「△EFC≡△BACが成り立てばよい」と書かれており,実際に示してから「DE=AFを得る。」としていました.
(翌日追記)点Aの位置をさまざまに変えて描画できるようにしてみました.