いきなりですが問題です.
① たて:横=2:3の長方形があります.周りの長さは95mです.面積は何㎡でしょうか.
② たて:横=2:3の長方形があります.面積は95㎡です.周りの長さは何mでしょうか.
さっそくですが求めていきます.たての長さをmとすると,横の長さはmです.
①では,周りの長さより=95という方程式を立てることができ,解くと,です.面積は,==1.5×381=571.5㎡と求められました.
②では,面積より=95という方程式を立てることができ,===63.3…です.周りの長さは===39.79…で,小数第二位を四捨五入することにして,39.8mと求められました.
元ネタです.
- 夏坂哲志: 場面を読み解く, 算数授業研究, 東洋館出版社, No.144, pp.68-69 (2023).
①たて:横=2:3です。
周りの長さは96mです。
面積は何㎡でしょうか。
②たて:横=2:3です。
面積は96㎡です.
周りの長さは何mでしょうか。
「長方形」が消えましたが,「長方形の広場の問題」というのを最初に板書しており,この授業(第1時)と次の授業(第2時)は,長方形を対象とします.また「:」が出てくることに関して,「6年生「比の活用」の問題」であることも,p.68で明記されています.
95から96に値を変更して,計算し直すと,①については,=19.2,面積は1.5×19.2×19.2=552.96㎡となり,p.68右カラムの数値と値が一致しました.
②も同様に行うと,で,これはです.周りの長さは=40mです.
小学校の授業で,xの一次方程式や二次方程式を立てて,解くわけにいきません.しかしながら①については,方程式を使わない形で,たてと横の長さ,そして面積を求めることができます.なお,「たての半分の長さ」は,長方形を描くことで,この長方形の周りの長さ÷10であることが容易に分かり,たての長さはその2倍,横の長さはその3倍となります.それでも面積計算は,小数×小数を行うことになります.
②について,p.69の1ページを使用して,子どもたちがさまざまな方法を考えだします.最後に書かれた方法が簡明と言っていいでしょう.以下の図は当該ページの内容に基づき自作しました.
外周は,たて:横=2:3の長方形です.たての半分の長さを1辺とする正方形を,2×3に並べることで,長方形と一致します.長方形の面積は96㎡で,正方形1つの面積は,6等分した1つ分ですから,96÷6=16㎡です.平方根の概念を知らなくても,「面積が16㎡の正方形があります.その1辺の長さは何mですか?」という問いには,「4m」と答えることができます.周りの長さは,(4×2+4×3)×2=40mと求められました.②は,分数も小数も不要なのでした.