わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

文章表現 四〇〇字からのレッスン

文章表現400字からのレッスン (ちくま学芸文庫)』を読み終えました.2週間ほどかかったかな.
著者*1の大学での「文章表現講義」(凡例より)がもととなっています.文章表現論と,学生の書いた文章を織り交ぜて紹介されています.
なのですが,純粋に「文章の書き方」の本として読むことが,できませんでした.
この本からも,「エンジニアリングデザイン」の側面を…対象は工学ではありませんが…見つけることができます.
学生が読めば,文章をどのように構成していけばよいかを学ぶことができます.メモをとり,残しておくことの重要性は,私も共感します.「字数」は,「限られた制約のもとで何を作るか」を決める能力を養えます.
一方,教員の立場で読んでみると,試験や演習で「〜について書きなさい」とするだけでは教育効果が不十分であることを示唆している本です.箱で囲った作文課題には,「もう一人の私」といたテーマだけでなく,文章表現をする際の注意点が記されています.囲みの前後に,そのように課題を設定している背景やデザインコンセプトが書かれていますし,おそらく,授業でもきちんと説明しているのでしょう.おおまかなガイドが与えられているからこそ,ある学生はその意図通りにjust as the teacher intended,ある学生はその意図のぎりぎりのところをかいくぐって,成果としての文章が出来上がっているのではないかと想像します.

*1:書評を書くとき,対象となる本を書いた人は「著者」,評者は「筆者」と書き分ける,とどこかで読んだことがあり,ここのエントリもその意味で「著者」を使っています.「著者=たけひこ」ではありません.