そういう意味で,いつまでもITが「銀の弾丸」であり続けることはないのではないでしょうか.そこで問題の本質に腰を据えて取り組めるようになるか,別の目眩ましに飛びつくかは,民度の問題になってしまいますけどね
(Software Design, Sep. 2007, p.173)
上記は,三酔人電脳問答の第41回の,まとめの発言です.なので,総括的な表現になるのは仕方のないところですが,「本質」という言葉に,引っかかりました.
文章全体を読み直したものの,「本質とは何か?」「本質というものにたどり着くために,自分は何をすればいいか?」を読み取ることができませんでした.
「本質」というと,数年前のどこだったかの会議で,ある議題に対して,「この問題の本質はナニナニで」と,2人の論者が別々の「ナニナニ」をおっしゃっていたのを思い出します.
これは,「本質」ではなく「着眼点」と解釈すればいいのでしょう.一つの問題に対して,どんな切り口で迫ればいいかを,他の参加者に伝えるための定番表現が,「この問題の本質は」なのです.
情報の分野でよく,「本質を見抜く」という表現を見かけます*1.
多くの場合,これは「構造を見抜く」と置き換えられそうです.
構造に気づけば…問題の中に,従来知られた構造と同形のものsomething isomorphicを見つけることができれば…その構造の性質を活用する*2ことで,問題を解きやすくする,ということです.
冒頭の引用に戻ると,「の本質」を消去しても,問題なく読めそうです.問題解決におけるバズワード,ですかね.あるいは,「別の目眩ましに飛びつく」に相対する強調表現,と思えばいいのか….
*1:実は当日記でも,読解力向上のためにできることは? - わさっきの中で,「本質を見抜く」という表現を使っています.これも空疎な表現ですね….