わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

そろそろレポート課題について一言いっとくか

昨年10月のレポート課題を素材にして,レポート評価結果と,ここ最近見かけたエントリに基づき,放言してみました.

はじめに

「さて今日は,授業に入る前に,一人1枚受け取ってもらった用紙の説明から始めましょう.
書いてあるとおり,これは『第1回レポート課題』です.指示通りに作業をして,問題を解き,レポート用紙へ清書して,学科事務室前のレポート提出ボックスに提出してもらいます.あ,パソコンで作って,打ち出すのでもかまいませんよ.
すでに他の科目でも,レポート課題を経験していると思いますし,基礎教養セミナー*1で方法を学んでいるかもしれませんが,改めてレポート提出の要領を説明しておきます.僕の科目に限るルールもあったりするので,注意して聞いてくださいね.

配点は10点

「まず,点数です.このレポートの配点ですが,100点満点のうち10点です.あともう1回,10点満点のレポート課題に取り組んでもらいます.そして試験は80点満点です.
レポート課題を侮ることのないよう,怠ることのないようにしてください.レポートを2回提出しなくても,試験は受けられますが,そこで満点でも.80点.優の最小点数です.実際にはいろいろ減点することが多いです.僕も,これまで採点してきた限り,試験のみ80点というのは見たことがありません.それくらい難しいです.レポート満点,試験も満点で100点というのは,それなりに出ていますよ.
ちょっとハードルを下げて,合格するにはという方針で見ますか.レポート提出なしだと,試験では正味60点が必要です.20点を超えて減点されると,自動的に不合格です.
きちんと計算したわけではありませんが,2回レポートを提出して,試験を受けて,落ちるのは1割くらいです.逆に言うと,合格率9割.
1回レポートを提出し,1回は何らかの理由で提出しなかった人が,受けて受かるのはというと,そうですね,6割くらいです.目分量で.
2回ともレポートを提出せずに合格というのは,3割,いや2割かな.皆無ではないですが,相当な努力が必要です.
2回,レポート課題に取り組むことで,僕の試験でどんなところを問うかというのが,つかみやすくなります.レポート課題と試験の問題は,もちろん出題形式が違いますが,いずれも「隠されているもの」を見出すことが不可欠です.
まあ一番効いてくるのは,2回分の点数ですけどね.20点は保証しませんが,努力の跡を見せてくれれば,かなりの点数になります.実際の試験で,80点満点で48点,つまり6割程度の出来でも,レポート点と合わせれば合格です.試験が50点台で,レポートが20点なら,良.優というのは,試験だけで合格ラインの60点以上をとり,かつレポートをそつなくこなすことが求められていると思ってください.

提出したら,どうなるか

「レポートを作成するにあたり,ほんの少しだけ心にとめてほしいのは,その提出したものがどうなるか,どのように採点されていき,採点後はどうなるかです.
期限を過ぎると,学科事務の方が箱を開け,学籍番号順に並べ替えてくださいます.このとき,学籍番号と氏名を書き間違えていると,そしてある学籍番号で異なる2人の学生の名前があったりすると,並べ替え作業に混乱が生じ,手間がかかります.くれぐれも,自分の情報を書き間違えないように,書き忘れないようにしてください.手書きの人は,読み間違えられないよう,丁寧に書きましょう.
並べ替えのしやすさ,そしてこちらの評価のしやすさから,レポートの体裁についてルールを一つ決めさせてもらいます.こんな風に(ぴらぴらと,例を見せる),1ページ目の上のところに,科目名と『第1回レポート』の文字,そして提出するあなたの学籍番号,氏名,最後に提出年月日を書いてください.センタリングしてあると,レポートっぽくていいですね.
これらの情報を表紙として,本文と別の紙にする流儀もありますが,並べ替えや答案管理の都合をいうと,嬉しくありません.まあ減点にはしませんよ.
用紙サイズはA4です.B5の紙とか,ルーズリーフとかは使わないように! …といっても,提出期限の日にレポート課題があるのを思い出して,生協の購買に買いに行くほど時間もないときは,まあB5の紙やルーズリーフでも致し方ないですね.
さて,僕がその答案の束を受け取ったら,順に見ていき,マルとかバツとか,ここは部分点とか,減点せなあかんなとか,赤ペンで情報を書き込んでいきます.何順も全体を見回して,最終的にそれぞれの答案に点数をつけます.レポートの答案は,返却しません.これは授業担当初年度からの僕のポリシーです.JABEE資料室で,原則として原本を保管しなければならない,という事情もあります.
JABEEの資料室は,みなさんが入ることはできません.大事な答案の資料ですので.
何年かごとに,JABEEの審査員の方が,保存している答案を見て,確かにこの答案は合格の水準で,こちらは不合格の水準だということを,確認していただきます.答案は適切に評価し,書類は『エビデンス』すなわち根拠資料として,厳重に管理しています.なので成績については,僕に限らず,各先生の最終決定に合理的な理由があるんだとわきまえてください.僕の科目については,成績交付後に,不合格なのはなぜかの問い合わせがあれば,日時を決めてこちらの部屋に来てもらい,答案を確認できるようにしたいと思っています.
みなさんにはレポートで何点取ったかを教えませんが,代わりに,みなさんの答案を見て,複数の人が書いた間違いや,それもOKという別解を取りまとめ,『解答例と解説』として,授業のWebページから入手できるようにします.解答・解説を読むことで,レポート点を上げるってことはできませんが,レポートを出し終えてから,それぞれの問題にはどういう意図,事情があるのか,各問題と全体を通じて,何を理解してほしかったのかがわかるようにします.
授業の復習は,授業を受けたその日のうちにしましょう,と昔から教わってきましたよね.レポート課題の解答・解説を期限後すぐというのは難しいにしても*2,なるべく早く,そうですね3日以内に解答,1週間以内にさらに解説もつけるようにします.

具体的な取り組み方

「さてレポート課題の取り組み方ですが,見ての通り,Cのソースファイルを打ち込んで,実行してもらいます.このソースファイルは,今回の課題のためのオリジナルですので,授業Webページはもちろん,検索エンジンで探しても,見つかりません.ま,観念して,演習室で打ち込んでください.タイプミスで,うまく動作しないということもあるかもしれませんが,紙と画面を見比べて,どこが合っていないかを見つけるのも,訓練と思ってください.
ソースコードがどこにもないオリジナルですから,問題自体も,答えがどこかに載っているということはありません.最初の問題は,指示通りに作業して,その結果を書いてもらう問題になっていますが,これは,目でソースコードを見て解けるわけではないよという意味です.打ち込まなくても解ける問題もありますが,プログラムを読解するには,どんな挙動をするかを,動かす前に理解することが不可欠で,そういうところを問うているのだなと思ってください.
あと,『〜について調べ,出典をつけて答えなさい』という問題を入れています.これは,書籍でも,インターネットの情報でも探して,よさそうなのを見つけてください.この問題に限り,書籍やWebの情報の抜き出しでかまいません.答案として適切な体裁になるよう,語句や文末を変更してもいいでしょう.
この問題を入れている意図は二つあります.一つは,情報源はその説明だけでなく,出典を合わせて記録しておくという習慣をつけてもらうこと.答案に出典がなければ,確実に減点します.出典のつけ方は,書籍の場合,著者名,書名,該当ページの3つが最低限の情報です.Webの場合は,該当ページのタイトルと,URLです.ウィキペディアを情報源にしてくれても,僕の課題については問題ありません.ただし,URLにはウィキペディアのトップページではなく,後ろに長ったらしい記号がついても,引用したページのアドレスを書くようにしてください.そうそう,そうすると,手書きよりも,PCで書いて打ち出すほうがいいですね.
調査問題を入れているもう一つの意図は,他の問題については,インターネットで調査しても直接答えが載っていませんよということです.そういった問題を解くヒントは,これまでの授業資料と,教科書にあります.それと,そしてあなたが授業でどんなことを聞いてきたか,要は『あなたの経験』ですね.この授業に限りませんし,ひょっとしたら,大学生活以外のことを,答えを書くのに使うかもしれません.そういう発想は大歓迎です.

レポートのコピーは

「ここで,言いたくないのですが,レポートのコピーについて,僕の対応を言っておきます.
残念ながら例年,明らかなコピーがあります.文末や名詞のいくつかを修正しているのも見て取れるのですが,解答の中心部とでも言うべき箇所が全く同じ,というのが典型です.もちろん正解なら同じ表現になるということもありますが,そこを根拠にはしません.こちらは,共通した間違いと,『正解が一つとは限らない問題』を見て,総合的に,この答案とこの答案は酷似しているなと判断します.第三者が見てもわかってもらえるよう,細かくチェックしています.
そして,目に余るコピーについては,メールで弁明を求めるか,掲示を出してこちらに来てもらうことがあります.弁明しない自由,呼び出しに応じない自由はありますが,それはレポート取り下げを意味するものと思ってください.レポートを出せば終わり,ではありません,僕が出す課題については.
メールで伝わりにくい場合は,日時を決め,うちの部屋で面談しましょう.なお,アポなし面談は受け付けません.それと,学生複数 対 僕という形の面談もしません.こちらは全学生の答案を持っていまして,どれとどれの答案が激しく似ているかの根拠すなわちウィットネスを十分な量,持っています.あなたは一人です.いや,他の学生と多かれ少なかれ関わりがあったはずです.面談に来るときは,誠意を持って,事情を説明してください.状況に応じて,減点しないという結論になることもありますし,全体ではなく一部だけを採点の対象外とすることになるかもしれません.
くれぐれも,求め方がわからない,期限が迫っているからといって,他の人の答案の丸写しはやめてください.そして疑惑をかけられないようにするため,他の人に答案を見せることもしないようにしましょう.

おわりに

「最後に,レポート作成の心得を三つ,挙げます.一つは,たかが10点,されどレポートです.真剣に取り組んだ人には,点数以外に得られるものがあります.保証します.次に,時間をかけて努力するだけでなく,適切な方法で努力することです.インターネット上に答えがないものが大部分です.授業資料や教科書をヒントにして,あなたなりの『ベストな答案』を創ってください.最後の最後.提出方法を間違えないようにしてください.具体的には,期限と場所です.期限を過ぎたら,よほどの事情がない限り受け付けませんし,僕の部屋へ直接提出したり,あるいは授業中に持ってきたりというのも,ダメですよ.
ルールを守って,レポート課題を楽しんで取り組んでください.」

*1:1年前期に受講する科目で,レポートの書き方やプレゼンテーションの仕方を学びます.当日記では「1年ゼミ」と書いていることもあります.他の大学でも,実施しているところが少なくないと思います.本で「プレゼミ」という表現を見かけたことがあります.

*2:解答をあらかじめ書くことはできるとしても,それが盗難されるとまずいので,基本的に解答は頭の中だけで,提出後に文章にします.採点していて,学生の解答のほうがずっといいというのも数知れずですが.