ゼミで
3年生出席必須,4年生以上は任意というゼミを数回実施し,研究心得を述べました.適度に脱線して,確か「よく学び,よく遊べ」と言ったあとで,そういえば今日はあまり学生を指名して答えさせていないなと思い,質問を投げかけました.
「○○くん」
「あ,はい」
「車の免許は,持っていますか?」
「え…はい」
「ほなら車の運転で『遊び』という言葉を教わったはずですが,説明してくれますか」
「え…え…えっと…」
「うーん,出てきそうにありませんか.じゃあ4年生に振ろう.△△くん,知っていますか?」
「はい,ハンドルを少し切っても,車が回らないようになっているところ…です」
「そう,それそれ.なんでそんな遊びがあるんでしたっけ?」
「それがないと,少しでも切ればすぐに曲がって,コントロールが難しくなるからです」
「よし.模範解答やね」
4年生の△△くんが最初の答えを言っている最中に,3年生の○○くんの「あっ,そうやった…」という声も聞こえました.
この意味の「遊び」を知るのと知らないのとで,我々の専門分野に影響はしない*1のですが,打てば響くように,質問にすぐ答えが出るかどうかは,コミュニケーションを円滑にするため,また研究室活動を充実したものにするために,大切なことです.今後も,広く一部は深く,専門分野,関心のある分野とその周辺のことを理解し,活用できるようにしてほしいものです.
Webで
日記にする前に,Googleで少し調査.
よしよし,期待通りだ.
あれれ,違うのか?
では何故ゴーカートのようにちょっと切っただけで曲がったり、路面の凸凹でステアリングが取られたりしないかというと、
ハンドルに遊びがないと、とても運転できないと聞きましたが、本当でしょ... - Yahoo!知恵袋
・ステアリングのギヤ比が大きく減速されているので(14〜17:1程度)、ステアリングをちょっと切った程度ではタイヤは大きく曲がらない
・上に書いた通り、ステアリングギヤや各ボールジョイントに意図的に摩擦抵抗を付加してあるので、路面の凸凹でもステアリングが動きにくくしてある
・さらにパワーステアリング付きの車は、路面の凸凹でタイヤが曲がろうとすると、その逆向きに力が働くためにステアリングが取られにくい
私たちが免許を取った頃、教習所では「ハンドルの遊びの必要性」について講義を受けました。
確か、この「遊び」が無いと大変危険で走行に支障を来たしてしまう・・と。現在、今。
この「遊び」のあるハンドルなどお目にかかれません。
あれほど「危険だ」と言われて来た筈なのに・・。道路状況もクルマ自体の性能も格段に進歩しました。
http://ch05537.kitaguni.tv/e283078.html
今ではむしろ「遊び」のあるハンドルの方が危険だと思います。
なるほどです.ゼミで嘘教えてもたなあ.
実車で
昨日,高速道路を走ったり下道を走ったり,車庫入れをしたり,要は車を運転する機会があったので,確認してみました.
ということで極めて主観的な評価なのですが,以下のことが確認できました.
- ハンドルを少し切っただけでは,曲がらない.
- さらに切ると,曲がり始める.
- ハンドルを少し切って,0.5秒ほどそのままにすると,曲がり始める.
単純なことでした.遊びは皆無なのです.切ってから,動力として伝わるのに時間がかかるから,「ハンドルを少し切っただけでは,曲がらない」ように感じただけだったのでした.
まとめ
学生の無知をあげつらうブログは,叩かれます.それではどのようにして無知を気づかせ,学習意欲を向上させればいいか,というのは,教員サイドで大学教育を語るブログにおいて,重要な論点となります.
今回の例を一般化するのは行きすぎとしても,「まず教員が調べ,自分の手で確認し,学生に限らず読者が検証できるよう,結果を提示する」*2というのは,なかなかよさそうなアプローチです.もう少し,事例を作っていくとします.