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研究室生活 基礎文法最速マスター

プログラミング言語以外で,「基礎文法最速マスター」を名乗って,取りまとめてみました.

1. 基礎

人間関係

研究室には,よく顔を出すようにしましょう.そして,縦横の良好な人間関係を築いてください.
先輩と親しくなりましょう.しかし普段は仲良しな先輩でも,ゼミの質問は厳しいかもしれません.それは「洗礼」というものですので,受け入れましょう.そして1年後には,厳しくいくか,優しく言うかは別として,みずから良き先輩になりましょう.

サポートしないこと

研究室は,研究活動のための場であり,それ以外の学業に関すること,例えば「授業料の支払い」や「授業の単位」については,基本的にサポートをしてくれません.
ただ,単位については,試験対策という名の勉強会を開くことがあったりします.そういうのには参加して,苦楽をともにしましょう.過去問を先輩からもらっても,解答例は実は正解ではない可能性がありますので,その先輩のいないところで,一つ一つ見直しましょう.

2. ゼミ

出席しよう

参加者も内容も,様々な種類のゼミが定期的に実施されています.決められたゼミに毎回出席しましょう.

欠席するとき

欠席のときは,あらかじめ先生にメールします.当日あるいはゼミ実施後というときは,事情に「遅くなって申し訳ありません」を添えて,メールを送りましょう.
自分が発表と割り当てられていた日に,欠席せざるを得ないときもあります.就活,学外での研究打ち合わせ,学会発表といった,事前に分かっているものは,発表順を替わってもらうよう,他の当番を終えていない学生に相談して了承を得て,それから先生に連絡しましょう.
風邪やインフルエンザなどのときは,「病気のため発表できなこと」と「お詫び」だけを手短にメールすれば,スケジューリングは教員側でやってくれます.

発表と質疑

ゼミの発表は,発表(プレゼンテーション,プレゼン)のあとに質疑応答(ディスカッション)をします.ディスカッションのない発表はないと思ってください.
ディスカッションの中には,今後の進め方に影響を及ぼす重大なアドバイスも含まれていたりします.他の参加者に,質疑記録を書いてもらいましょう.
コミュニケーションをスムーズに行えるよう,自分も,短期記憶を手助けするためのメモをとるようにしたいものです.

3. 卒論・修論

位置付け

卒業論文(卒論),修士論文修論)は,自分にとっては,研究室活動の集大成です.
しかし,それだけではありません.教員にとっては,審査対象となります.学科などの他の教員に参照してもらい,これだけ努力をしたので,卒業研究/修士研究の単位を与えてもいいですよねと言うための根拠資料となります.
後輩にとっては,先行研究です.そして研究室にとっては,知的財産となります.

スタイル

卒論・修論には「スタイル」があります.具体的には,表紙のフォーマット,装丁,章立てや謝辞・参考文献の書き方などです.
研究室のこれまでの卒論・修論をいくつか読んで,学びましょう.

長丁場

1か月で完成させようと思っては,いけません.週単位や日単位で予定を立てて書き進めましょう.予定通りに書けなかったとき,順送りにするよりは,そこは飛ばして予定を優先させ,あとで書き足すほうが,成功しやすいです*1
書いたら終わり,ではありません.自分で読み直しましょう.先生に添削(「赤入れ」とも言います)してもらう期間をとりましょう.

提出したら発表

提出したら終わり,でもありません.数日後に発表会がありますので,PowerPointファイルを作りましょう.年度に何度かPowerPointで発表をしたら,それをベースに書き足しましょう*2
システム構成図などは,原稿執筆の段階から,PowerPointで作って,それを原稿のWordファイルに貼り付けるようにしましょう.

4. 学会発表

きっかけ

卒業研究・修士研究の範囲では,自分から発表を志願することはまずありません.先生から話がやって来ますので,日程や,何について発表すればいいかをよく聞いて,意識を共有し,準備しましょう.

相手は専門家

予稿を読む人,発表を聴く人は,専門家です.といっても身構えることはありません.
ただし,教員が,「いちいち書かなくていいことは書かない」というルールで,内容を削るよう指示するかもしれません.それは素直に従いましょう.

提出したら発表

発表練習を通じて,専門家が言いそうな質問を考えましょう(質問対策あるいは想定質問と言います).
自分一人というのは難しいので,教員の助けを得ましょう.
その際,同意語*3や,このトピックでは当然知っておくべき用語を押さえておき,語彙を少しでも充実させておきたいものです.

5. 文献調査

なぜ文献調査

文献を整理し,調査し,執筆中の本文に適切に引用し,参考文献に記載するのは,卒論でも修論でも,学会発表の予稿でも,査読付きの学術論文を書くのでも同じように行います.
先行事例があってこそ,先行事例を十分に踏まえてこそ,自分の研究内容で新規性や有用性をアピールできるのです.
文献調査は,研究に取りかかる段階で,何が解決されていて何が解決されていないかを理解するために行います.中間(実装・実験など)と執筆の段階にも,自分のやっていることを強化するために行います.

キーペーパー

卒業研究では,前年度までの研究室の修論・卒論が,キーペーパー(鍵となる論文)となるかもしれません.
「最初に読むべき論文」を教員からもらったら,隅々まで読みましょう.
自分が探す場合は,いくつか読んで,全体像をつかみます.
いずれにせよ,「ここから攻めればいいのかな?」という構想を立て,先生に報告しましょう.

6. 先生

先生とは仲良く

指導教員は「門番」ではありません.「仲間」と思ってください.何歩も先を行っていて,でもすぐにあなたと同じ立ち位置に戻ってくれます.研究上の困ったことは,どんどん相談しましょう.
とはいえ先生は忙しいのです.授業,他の研究(自校・他校との共同研究,企業などとの共同研究),学務,学生に明かせないことなどがあります.
だからといって,何も言わずに研究を進めていると,先生の想定と違うことをしていてびっくりされるかもしれません.そういうことのないよう,定期的に報告するようにしたいものです.

メールを送ったら返答をもらう

相談のメールを送っても,返事がないかもしれません.
送ったあとに,顔を合わせたら,「先生,○○について先ほど/昨日/先日お送りしたメールですが…」と言うようにしましょう.

面談

顔を合わせて相談するときは,あらかじめ相談内容を決め,メモしておきます.
先生の部屋へ質問をするときに,手ぶらは不可です.少なくとも,筆記用具を持って行きましょう.

しづらい面談

長期にわたって研究ができないときは,言いにくいと思っても,ちょっと勇気を振り絞って,相談しましょう.「じゃあ来るな」と言う先生は,いません.いつまでに(ときには留年も考慮に入れて)どうすれば卒業・終了できるかについて,最適なスケジュールを教えてくれることでしょう.
指導教員に面と向かってというのができなければ,他の先生(学科長など)または先輩に相談して,理解を求めてください.

好き嫌い

先生が,Webの情報を好むか好まないかには,ちょっと注意をしてください.要注意語が一つありまして,「Wikipediaウィキペディア)」です.Wikipediaに嫌悪感を示す先生は,おそらくWikipediaを引用する出来の悪いレポートに苦しめられている経験をお持ちなのでしょう.
とはいえ教員は総じて,新しい物好きです.Wikipediaを授業資料の参考文献に入れていたり,Twitterやっていますと公言したりしているかもしれませんよ.

7. 知っておいたほうがよいこと

情報漏洩しないように

ブログやSNSTwitterなどで,今やっている研究の具体的なことは書かないようにしましょう.どうしても研究のことについて書きたければ,公表された著作物にのみ基づいて記すようにします.
オンラインストレージ上に,実験協力者の個人情報などを置いてはいけません.その種の,取扱注意の情報を共有したいときは,管理方法を研究室内で取り決めるべきです(あるいは,すでに決まっている要領があれば従いましょう).自宅に持ち帰っても,いけません.

ブログを読もう

研究室に関する“良い”ブログを知り,読みましょう.私のおすすめは,生駒日記発声練習です.

型の概念

元ネタは,プログラミング言語の「基礎文法最速マスター」です.JavaScript基礎文法最速マスター - gifnksmの雑多なメモには,主要な言語の基礎文法最速マスターへのリンクがあります.基礎文法最速マスター - おなかすいたWiki!は,今後充実するかもしれません.
プログラミング言語ごとに,「型」というものが存在します.1種類の型だけを使って,できることは,知れていますので,様々な型を活用し,ときには自分で型やデータ構造を定義して,大規模なプログラムを作り上げることになります.
研究室活動においては,「型」に相当するものとして,先生や,先輩や同輩や後輩の性格分類が挙げられます.いろいろな人がいて,あなたもその中の一人であるからこそ,研究室,あるいは研究者のコミュニティは,面白いのです.
相手の性格や行動パターンに応じて,最適な自分の振る舞い方というのを,考えてみると楽しそうですが,いろいろ出てきそうなので別の機会にしたいと思います.

おわりに

以上,研究室生活の「文法」と銘打ったものの,運営形態は研究室によってまちまちです.この文章は参考程度にしてください.
「ここ(に限らず)に書いてあったから」という理由で,研究室の改善を求めるのは間違いです.
「ここに書いてあるのと,自分がいる研究室のルールは違うなあ,なんでだろ」と問題意識を持って,自分の目から見た研究室・研究活動を変えていくのは,非常に望ましいことです.
過去と他人は変えられませんが,未来と自分は変えられるのです.

*1:ここは学生の卒論・修論などを見て得た教訓ではなく,私自身の執筆経験をもとにしています.

*2:ゼミと違って,卒業研究発表会・修士論文発表会では決められた時間がありますので,その時間を1秒でもオーバーしないよう,またあまり早く終わらせないよう,時間配分に注意しないといけません.

*3:予稿や発表スライドにはコレコレと書いたけど,ナニナニも同じ意味でよく使われる,というもの.