「ほな寝よか〜」
「せやな.おやすみ」
「…」
「…」
「何か言いたそうやね」
「ああ,まぶたを閉じると思い出すんやが」
「どしたん」
「夕食んときにやな,この子が,鍵を持って,その先っちょで窓ガラスを,ぎーこぎーこ,してたやんか」
「せやったね.それで,食べ終わってたあなたが立って」
「そや.『あかん〜』言うて,鍵を取り上げたらたな」
「何したんやったっけ?」
「ちょうどお前の後ろやったからなあ.いつものように,取り上げられたんでわあっと泣いてから,そばにな,幅25cmほどの正方形のクッションが落ちててやな」
「食事のときに,この子を座らせるときのクッションやね」
「そや.それをこの子が取ってな,両手で目一杯,持ち上げてな…」
「そんなことしてたんや」
「ちょっと勢いをつけてから,この子の目線になってた,俺の頭に,振り下ろしたんやで!」
「クッションを!?」