朝5時.
「ん? 寝室のドアが開いたな.来るのはママか娘か……」
「おはよう…まぶしいなあこの部屋」
「おはようさん.お前か」
「もっと優しく言ってくれへんかな!」
「いやまあお前か子供か分からんかったもんでな」
「言い訳になってないでそれ」
「すまんの.んで? 子供は熟睡中か?」
「よお寝てるで」
「そらよかった.しかし…起こされたなあ.たぶん夢ではないと思うんやが」
「どしたん」
「昨日寝るとき言われたように,子供が俺のベッドのど真ん中で寝てるから,俺,ベッドの下で,掛け布団と枕で寝たやんか」
「せやったね」
「何や違和感があるからと,体を起こしてみるとやな」
「…」
「うちの子が,俺のももに足を置いて,んでから床の上に降りおったんや」
「何時ごろよ」
「時計は見てないんやが.んでこっちも体を起こしてみたら,暗い中やが,子供がこっちを見とんねんな」
「ベッドに乗せたったん?」
「いや,自分で登っていった」
「それで寝たんやね」
「せやな.俺も,あの子も…んで目覚ましが鳴ったんで,起きたら,ベッドのど真ん中で,どでーんと,掛け布団もせんと寝てたんで,布団かぶせたったけどな」
「あたしが起きたときにも,かぶせ直したけどね」
「まったく,寝室で傍若無人っちゅうのは…」
「あなたの寝方そっくりやないの」
「それを言われると,何も言えんのお…」