- 作者: 毛利衛
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2010/11/20
- メディア: 新書
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第三期基本計画に,「安全と安心を与えることが大切」といった方針がうち出されています.この二つは厳密に言うと違うものです.安全は客観的な評価ができる,ある物事の状態.安心は,個々人の勘定です.
ですから,安全は国が保証できますが,安心は個々人の気持ちによって違うので,国が保証できるものではありません.この辺りの区別をしていない政治家が意外に多かったように思います.第三期計画を話し合っている時も,彼らは安全と安心を同じように使ってしまう.日本人は,つい「安全安心」という使い方をしてしまい,安全と安心の区別をつけない.日本人はそれだけ情緒的に物事を判断してしまうということでしょう.客観と主観,論理と感情を明確に分けないのですね.
それに対し,科学的なものの考え方というのは,客観的に物事を見ることを大切にします.たまたま買ったイチゴのパックに農家のおばあちゃんの顔写真が載っていて,「私が作ったんです」という吹き出しがついていると「このイチゴは安全」と思ってしまう人が多いけど,それは安心であって安全ではないのですね.
(pp.97-98)
自分自身が,周囲に安全を伝え安心を与える媒介役となることは,できないだろうか.