「さて,行ってくるか」
「早く帰ってきてね」
「あいよ.…よっこらしょっと」
「あなた,リュック重たいの?」
「せやねんな.授業がある日は,ノートPCを持ってかなあかんからな」
「そうそう,水筒,忘れたらあかんで」
「おっと,せやったな.ありがとさん.それと,本を何冊か入れててな.全部読むわけではないにしても,1冊もないのは寂しいて」
「ふうん」
「そいや,うえの子は,まだ眠ってんのんか?」
「うん,今日は週に1回のプールの日やから,プールのときに眠たならんように,時間調整してもらってるんよ」
「なるほど.しかし,うえの子が,いってらっしゃいって言うてくれへんのは,物足りんなあ」
「晩にまた,遊んだってや」
「よっしゃわかった.さて行こ…」
「あっれえ!?」
「どした?」
「ほら,離れから,うえの子,来てるやん!」
「あ,ほんまや.しかも,えっと,なんや,お気に入りのペンダント持って,水筒を持って,ご本を脇に挟んで,んで雨でもないのに自分の長靴を履いて,やって来てるやないか!」
「…」
「おお,はよ入れ入れ.ほな,行ってくるね〜」
「パパ,ごめんやけど,離れの戸ぉ,閉めといてな」
「了解」