夏休みに入ってから,かけ算関連の検索語によるアクセスが,多くなっています.
その中でもアレイ図について,今年書いたにしても,読み直してみると情報不足の感がありますので,その後に知ったことを挙げておきます.
- 「日本最古のアレイ図」について,さらに過去のものを知りました.緑表紙教科書に入っています(実物は確認していませんし,それよりもっと古いものもあるかもしれませんが).
- 2年生向け出題に,アレイ図のようにボタンを並んだ状態で,その総数を求めさせています.http://homepage3.nifty.com/ooiooi/rekisikakezan.htmで,写真を添えて紹介されています.該当ページを見る限り,そこでは,期待される式は一つ(被乗数と乗数の区別あり)と見るべきでしょう.
- 3年向けには,タテヨコ同じ大きさの複数のアレイに対して○の総数を求めれば,さまざまな式が考えられるという事例があります.緑表紙にアレイ図で報告しました.
- アレイ図から離れますが,緑表紙には,現代の視点で複数の式(「一つ分の大きさ」と「いくつ分」の組み合わせ)が思いつくような出題があります.『算数授業研究 VOL.80』表紙裏に,その写真があります.
- いくつかの本で,アレイに着目した指導法が提案されています.
- 『新編算数科教育研究』は「数学的立場からの考察」として,乗法の定義に「公理論的立場」と「集合論的立場」を挙げ,後者をアレイ図で視覚化しています.ここで書き出しましたが,そこでも,アレイ図のみでは結合法則を確認するのが困難である点を指摘しています.
- 『必備!算数の定番授業 小学校2年 (活用力の基礎を育む授業ベーシック)』では,24個の●に対していくつかのアレイを示し,「縦の個数×横の個数」の式を得ています.ここで,主要なところを抜き出しています.
- この種の「分け算」「配列の変形」を,乗法の導入としている本には,『板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 小学校算数2年〈下〉』があります.『新版 小学校算数 板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 2年下』では,その出題がなくなり,3行4列のアレイに対して囲い込む*1事例が見られます.
- 海外のアレイの考えについて,2例,見つかりました.
- かけ算を究める・ファーストインプレッションの終わりのところで,http://www.corestandards.org/assets/CCSSI_Math%20Standards.pdfへリンクしています.p.89の表で,左側の見出しの中に,「Arrays」とあります."There are 3 rows of apples with 6 apples in each row. How many apples are there?"(どの行にも6個ずつ並んだリンゴが3行ある.リンゴはいくつあるか)はより簡単な出題,表脚注の"The apples in the grocery window are in 3 rows and 6 columns. How many apples are in*2 there?"(お店の陳列窓に,リンゴが3行6列で並んでいる.リンゴはいくつあるか)はより難しい出題,としています.
- モンテッソーリ教育で使用される教具に,「デカノミアル」というのがあるのを知りました.アレイ図ふたたびで,取り上げています.
- アレイ図の話は,いくつか変更を加えた上で英訳し,Towards Japanese Multiplication Instruction Using Arrayと題して公開しています.合わせてどうぞ.