いきなりですが問題です.
以下の点の並びから,4つの点を選んで結び,緑の正方形のちょうど5倍の面積となるような正方形をつくりなさい.
できた人は,そのちょうど2倍(緑の正方形のちょうど10倍)の面積となるような正方形をつくりなさい.
それもできた人は,3つの点を選んで結び,正三角形をつくりなさい.
さっそくですが解答例です.緑の正方形の面積を1㎠として,面積が5㎠の正方形は,次のとおりです.
なぜこれが「面積が5㎠の正方形」となるかは,平方根は不要で,小学校で学ぶ内容をもとに説明することができます.次のように囲みます.
そうすると,1cmと2cmの辺が直角を挟む直角三角形を,4つ組み合わせれば,その4つの斜辺が,答えとして作った四角形のそれぞれの辺になることが分かります.斜辺の長さは求めなくても,4つの直角三角形は合同なので,どの辺も等しいと言えます.
「どの辺も等しい」だけでは,ひし形です.正方形を言うためには,どの角も直角であることを確かる必要があります.しかしそれも次のとおり,難しくありません.
青の曲線が,四角形の一つの角になります.黒の角と青の角を合わせると,180度です.それと別に,青の曲線で分けられた,2つの黒の角の和は,直角三角形の直角を除く2つの角の和ですので,90度です.なので青の角は,180−90=90で,90度となります.四角形の他の角も同様に90度となることが分かり,したがってこの4点の囲みは正方形です.
面積は,3×3−(1×2)÷2×4=9−4=5です.最初に立てた式に,単位をつけると,3cm×3cm−(1cm×2cm)÷2×4となります.「÷2」は長方形を対角線で切って(直角)三角形にする操作を,「×4」は直角三角形は4つあるので(取り去る部分の)面積も4倍にすることを,それぞれ表します.
面積が10㎠の正方形は次のとおり.
今回の問題の「点の並び」は,格子点,それも正方格子と呼ばれます.その座標全体の集合は,と表せます.2つの正整数a,bに対し,(a,0),(a+b,a),(b,a+b),(0,b)の4点を結んでできる図形は正方形となり,その面積は==です(1辺の長さはです).面積が5となるのは,a=2,b=1の場合,面積が10となるのはa=3,b=1の場合です.
3点を結んで正三角形をつくるのも,試してみましょう.次の図形は,正三角形でしょうか?
違います.底辺は4cmですが,残りの2辺は4cmよりも長いからです.
底辺を4cmとする正三角形をつくるには,次のようにしないといけませんが,一つ,頂点が,「点」上にありません.
3つの点を選んで結び,正三角形をつくる問題,実は「解なし」です.そうなる理由として,が重要な役割を持ちます.ともあれ証明しているところにリンクしておきましょう.
正三角形がつくれないのは,2次元の正方格子上だからで,これを3次元,すなわちの座標上から3つの点を選んで結び,正三角形をつくるとなると,これは無限集合にしなくても,1個の立方体()から得ることができます.図は次のとおり.
立方体の8つの頂点を区別すると,そこから3つの頂点を選ぶ方法は56通りあって,そのうち24通り8通りが,立方体の1辺の倍の長さの辺からなる正三角形となります*1.
(最終更新:2016-06-10 晩)