「パパ,みて!」
「んん…うえの子よ,折り紙か?」
「きょうりゅうやねん」
「へえ,がんばって,作ったんやな」
「(笑顔)」
「(山折りの破線が見えとるがな.指示どおり折ったら出来上がりってやつか)」
「パパ,これ,なんのきょうりゅうやとおもう?」
「うーんせやなあ,角があるから,トリケラトプスかなあ?」
「ふーん」
「お前も知らんのかいな」
「きょうりゅうやねん」
「へいへい.おっと,小さくママとお前の名前か.合作やねんな.…」
「…」
「ママよ,ママよ,ママまま」
「どしたん?」
「『H24.8』と書いちゃあるんやが…」
「ちゃうかった?」
「今年は平成25年!」
「そっか,ごめんごめん」
「ごめんですんだら…あ,思い出した」
「何かあった?」
「冷蔵庫の横の,うえの子が去年,かいた絵や」
「…」
「…」
「あれに鉛筆で『H12.12』と書いてたけど…平成12年って,この子が生まれるどころか,俺ら結婚してないやん! 結婚どころか,顔合わせ以前やん!」
「あ,せやね」