わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

サッカーのペナルティエリアの面積は200坪

いきなりですが問題です.

●サッカーのペナルティエリアの面積は、次のどれに近いでしょうか。
(1)10坪 (2)50坪 (3)100坪 (4)200坪

正解は,タイトルに書いたとおりです.元ネタのほか,正解の後の展開を引いておきます.

これは、『新しい算数研究』を発行する東洋館出版社・川田龍哉さんに出題された問題で、お恥ずかしながら、自分は間違えてしまった。
だが、実は、この問題、大人でもほとんど間違える問題だそうで、同時に、いまの子どもたちの「弱点」が浮き彫りにされるものでもあるらしい。

そのあとは,視点を《子どもたち》に移しています.全国学力テストに出題された問題(約1kgの重さのものや,約150平方cmになるものを,それぞれ4つの中から選ばせています),そして正答率を書き,「量の感覚が乏しい」「子どもの量感が育っていない」という《川田さん》の発言に,持っていっています.
記事全体として,意図は分かるものの,賛同のできない内容でした.とくに,「普段から家庭でのお手伝いなどをしていれば、自然と身に付くこと」は,小学校の算数ほかを通じて学ぶ量感のうち,一部にしか対応できません.
対応できるのは何かというと,手に取ることができ,必要なら長さや重さを,“ものさし”や“はかり”を使って求められるものです.1kgの重さを求める問題が該当します.ヤカンなんかだったら,2Lと書かれていることもあります.
それに対し,手に取ることが必ずしもできず,面積や体積などを“概算”によって求めるような場合,例えば上にあげた約150平方cmの問題は,対象外となります.
そう思いながら,記事を見直すと,サッカーのペナルティエリアの面積が,200坪に近いのを,どのようにして確認すればよいのかが,書かれていないことに気づきました.
自分なりに,やっておきます.ペナルティエリアの「タテとヨコ」の長さは,次の情報を参照しました.

ペナルティエリアは長方形で,その長い方の辺の長さは16.5+7.32+16.5=40.32で約40m.短い方の辺の長さは16.5m.かけ算すると,40×16.5=660,ということで660平方mです.
1坪は約3.3平方mなので,1坪:3.3平方m=x坪:660平方m と式を立て,解くと,x=660/3.3=200.ぴったり200坪となりました!
途中2箇所で値の切り捨てをしているので,「ぴったり」は計算上たまたまのことであり,サッカーのペナルティエリアの面積は「およそ200坪」と言う必要があります.
計算してみて,賛同できないまた別の理由が思い浮かびました.それは,サッカーのペナルティエリアの面積を坪数で表すことへの違和感でした.冒頭に取り上げた問題は,サッカーという,イメージしやすいものを持ち出しながらも,現実生活での利用から離れ,大人が間違えやすくするよう,アレンジ*1した内容であるようにも見えました.
ところで,算数で「坪」って学習していたっけ? …ざっと,学習指導要領データベースの算数のところを調べたところ,昭和26年度の小学校算数科(試案)では,六年の指導内容に入っていましたが,それより後には,見当たりませんでした.


関連:

第2学年 [4]
つぎの 長さやかさは どのくらいでしょうか。
答えを(   )の中から えらんで ○で かこみましょう。
(1) 教室の つかっている つくえの たての 長さ ( 10cm 20cm 40cm )
(2) 教科書の あつさ ( 5mm 25mm 5cm )
(3) 給食にでる ぎゅうにゅうの入れ物にはいる 水のかさ ( 20L 2L 200mL )

平成23年度実施 学力実態調査の集計と考察〈量と測定 図形〉第2学年

第6学年 [6]
体積はおよそどれくらいですか。答えを □ の中からえらんで、記号を書きましょう。
(1) 学校のプール(距離25m)に入る水の体積
あ 30立方m  い 300立方m  う 3000立方m
(2) スーパーの買い物かごにぴったり入るものの体積
え 380立方cm  お 3800立方cm  か 38000立方cm*3

平成21年度実施 学力実態調査の集計と考察〈量と測定 図形〉第6学年

(最終更新:2014-05-31 朝)

*1:4つ選択肢を並べると,最も大きいのと最も小さいのは選択肢から外しやすいという,解答者心理も,入っています.

*2:このWikiの一連の内容は,主張に対し学術的(数学教育学,教科教育学:算数)観点での照合が図られていないという点で,いわゆる「かけ算の順序」への批判の特徴をよくあらわしています.

*3:例えば,幅40cm,奥行き30cm,高さ30cmとしてみると,40×30×30=36000となる.