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Re: 800円の5割を800÷2と求めては駄目なのか?


800円の5割を,800÷2の計算で求めるのは,いいのではないでしょうか.とはいえ,800円の3割となったら,1個のわり算に置き換えられませんが.
さて,「800円の5割はいくらですか.式を書きなさい」という出題に対して,800÷2を正解とするかどうかは,授業や出題の仕方によるかなと思います.
類似の出題事例は,Togetterまとめのコメントにも書きましたが,全国学力テストに見ることができます.問題文などを確認したい方は,以下のページより,「算数A」をダウンロードしてください.大問8です.

当ブログの記事を見直すと:

ケーキが3分の1個で100g

国学力テストにも,同様の出題を見ることができます.
平成24年度実施の小学校算数A大問8で,問題文は「犬を飼っている人は8人です。この8人は,学級全体の人数の25%にあたります。学級全体の人数は何人ですか。求める式と答を書きましょう。」となっており,上と同じ構造です.正答率は58.7%*5です.報告書には「百分率の意味について理解することに課題がある」と書かれています.
*5:解答類型によると,「8÷0.25」と「8×4」はそれぞれ,◎による正答で,□×0.25=8は,○の正答です.□×0.25=8の反応率(%)は「0.0」(多めに見積もってもそう書いたのは解答者全体の0.5%未満)であるほか,「乗数と被乗数を入れ替えた式なども許容する」の注意書きが入っています.

第3用法

ここからの類推として,800円の5割を求める式として,「800÷2」も,正答として認めてよいのではないかと考えられます.
なお,ツイートに見られる「800÷2とした子がいたら、むしろ割合をちゃんと理解している」には,「800÷2を(テストなどの)式に書く子がいたら」に読み替えた上で,賛同できません.冒頭で書いたとおり,800円の3割には適用できませんし,歩合は十進位取り記数法と関連する話であること*1が,「÷2」からは見えてこないからです.


「かけ算の順序」と,今回の話とで,共通点を探ってみます.次のように,主張を一般化してみるのは,どうでしょうか.

  • 問題Pに対し,Aが(唯一の)正解というが,Bも正解になるんだよ.

例えば,wikipedia:かけ算の順序問題の冒頭の例は,次のようになります.

  • 「6人のこどもに、1人4こずつみかんをあたえたい。みかんはいくつあればよいでしょうか。」という文章題に対し,日本の小学校の算数では,4×6=24のみが正解となっているが,6×4=24も正解になるんだよ.

かけ算の順序に関して,その主張を示すにあたり,交換法則のほか,アレイやトランプ配りも活用されてきましたが,かけ算の順序論争について(日本語版)で整理してきたとおりです.
なお,「6人のこどもに、1人4こずつみかんをあたえたい。みかんはいくつあればよいでしょうか。」のタイプの文章題は,かけ算の順序を問う問題にて,事例集をつくってきました.ペーパーテストだけでなく,授業案・授業例からも,見ることができます.
「6×4=24も正解になるんだよ」となる,2年生*2を対象とした授業の例や,「800円の5割」に関する(800×0.5のみを正解とする,あるいは800÷2も正解とする)授業やテストの実例は,それらを支持したり検討したりする人々にこそ,提示してほしいなと感じています.

*1:小学校学習指導要領解説算数編より:基準とする大きさを10とみて,それに対する割合を「割」で表していることなどに触れるようにする。

*2:学年が上がると,正解になることが読み取れる授業はというと,http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20130425/1366840221で紹介した,1957年発行の本が思い浮かびます.なお「アレイ」の場面は現在,2年の教科書にありますが,みかんの問題と別タイプのかけ算であり,それに関してはGreer (1992)が分かりやすい解説となっています.