わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

今月の母

何ごとにも予想を裏切る実家の母親の,今月の出来事です.

その1

食べ物がどっさり届きました.実家からです.
手紙も入っていました.妻と自分宛ですね…
「みんなで食べてください.一生のお願いです」
……
昔むかしの大昔,母が兄や自分に,何かやってほしいことがあったら,「一生のお願いやねん,聞いてくれる?」と言っていたのを,思い出しました.
月1回くらいの頻度の「一生のお願い」でしたかね.

その2

その1で書いた食べ物を,晩ごはんのときにいただきまして,妻と「お礼の電話,しとかななあ」「ごちそうさましてからで,ええんやないの」と会話をしていた直後に,電話が鳴りました.
実家の母からでした.
お礼を言ってから,「おばあちゃんとおはなししたい」と受話器に群がる子らのうち,うえの子に渡したところ,最初の5秒で大興奮です.
すえの子にバトンタッチしたうえの子に,「何かあったんか」と聞くと,「あのねえ,あっちのおばあちゃんがねえ,さいしょに『しもしも』って言うんやで!!」
……
ああ,言うた言うた,あの母親は.「もしもし」の反対で「しもしも」と.脱力したもんです.
でも初めて聞いたら,びっくりするよなあ.

その3

その2から何日か後の朝,電話がかかってきました.
どうしても,手渡ししたいものがあるので,夕方取りに来てほしい,と.
こういうときの受け渡しの場所は,たいてい,南海和歌山市駅です.堺から南海本線の特急(サザン)に乗って母が届け,とんぼ返りします(我が家には,来たがりません).年に1〜2度の行事です.
仕事帰りに受け取るとなると,和歌山市駅よりも,和歌山大学前のほうがいいかなと答えたところ,じゃあそうしようで電話が切れました.
昼間に電話が鳴りました.何時何分のサザンに乗ったら,大学のところ(和歌山大学前駅)に何時何分に着くから,そんとき来といてや,と.
しばらくすると,また電話です.サザンの一番後ろの車両な,と.
電話が切れてから,ちょっと考えました.
大学前から市駅までの数分間,一緒に乗って,積もる話でも聞かされるのかな…
ともあれ夕方,予定の時刻に予定の場所に行き,車両に入ると,他のドアから母が車外に出ました.そしてこちらを見つけて,「これ! これ! 持って帰ってや! 私はここで降りるで!!」と.
……
荷物だけで,座席の1人分を占めていました.
ドアが閉まり,車外で手を振る母の姿.
颯爽としすぎて,開いた口がふさがりませんでした.

その4

今月で8歳になったうえの子を,お祝いしてくれるというので,ある休日に,自分と妻と,4人の子どもで車に乗り込み,実家へ行きました.
到着すると,挨拶もそこそこに,「今日もいろんなとこ行くからね.まずは牛乳を飲んでや.それから,また車に乗らなあかんから,みんなトイレ行っときや」.
すごい組み合わせです.
がやがやする子らを横目に,仏壇に手を合わせ,先にトイレを使わせてもらい,出ると,うえの子が,「パパ,どうぞ」.
200mLの牛乳ビンです.実家の懐かしのアイテムです.どうもありがとう…
すでにフタは取られています.
手に取ったとき,温かさも感じました.飲んでみると,人肌とはいかないものの,ぬるくなっています.
すえの子は,ゆっくりゆっくり飲んでいます.
……
牛乳ビン6本を,湯煎していたのかと思うと,笑い涙がこみ上げてきました.

その5

その4の続きです.実家の母を乗せて7人で出発…その前に,プランを確認しました.
まずは神戸の王子動物園へ行き,そこで昼食をとったり遊園地で遊んだりして,どこかいいところで紅葉を見て,それから5時に,「おいしいところで,みんなで晩ごはん食べようね.予約してあんねん」と.
動物園では,楽しいひとときを過ごしました.じゃあ場所を変えようか,うえの子ちゃん・さきの子ちゃん・あとの子ちゃん・すえの子ちゃんは,昼寝してねと,駐車場を離れたのは,3時前です.
次の行き先を,きちんと決めていなかったのですが…妻が「箕面勝尾寺で紅葉を見たい」と言い出しました.
経路探索をしてみると,名神茨木ICで降りて10kmほどです.行きに1時間足らず,お参りがてら紅葉散策をし,名神(高速)・阪神(高速)を乗り継げば,5時は間に合いそうです.
…渋滞がなければ.
勝尾寺の手前2kmあたりから,車の列ができていました.
ハンドルを握る自分は,どこかで引き返すことも考えないとと,口に出したものの,妻はせっかくなので行きたいと言い,母は黙認でした.
寺の正面玄関が見えたところで,カメラを持った妻だけが車に出て,残りはひとまず,駐車場へ.そこでUターンして妻を拾い,山くだりを始めると,すでに5時を過ぎていました.
阪神高速の塚本付近でも,渋滞のあおりを受け,予約していたお店に着いたのは,7時前です.
時間を遅らせたいという連絡をしていなかったこともあり,座席は他のお客さんが使っていました.
ですがそのお店には,2kmほど走らせたところに本店があって,そこを紹介してくれました.お店の間でも,我々が行くことを,電話で伝えておくとのこと.
迷いながらも本店に着くと,手厚く歓迎してくださいました.みんなで,料理に舌鼓を打ちました.
店を出て車に乗るまでの間に,ごちそうさま,1日ありがとうと伝えると,母の返事は「ちょっと車で,行ってほしいところがあるねん」.
どこかというと…
予約していて大幅に遅れてしまったのに,キャンセル料を取るでもなく,本店に繋いでくれたお店です.
店の前に車を止めると,「私だけ行ってくるわ」.1分足らずで戻ってきました.
……
待つ間に,思いました.こういうときの挨拶は,普段からやっていないと,思いつかないんですよね….

今年の母(前に書いたこと)