「パパ,あのねぇ」
「どうした,すえの子よ?」
「今日ねぇ,ドーナツ作ってん」
「ああ,作るて言うてたな」
「ひとり3こずつ,食べられるで!」
「ほお,けっこう作ったんやなあ」
「おばあちゃんと,あとの子ちゃんと,あたしで作ってん」
「そうかそうか」
夕食のテーブルには,ママ,さきの子,あとの子,すえの子,そしてパパ.
「(手を合わせて)ごちそうさまでした…と言うた直後で何やが,ドーナツ食いたいなあ」
「はい,パパ,食べてね!」
「さっき3個もらえるって聞いたけど,夕食後やし,1個だけにしよか.どれがええんかな…」
「一番おっきい,これにする?」
「あいよ.ありがとさん.もぐもぐ…」
「そういえば」
「どしたの,パパぁ?」
「えっと,問題な.ドーナツが24個あります」
「うん」
「8人で分けます,って言うたら,1人が20個取るのんがアリになるので,8人で同じ数ずつ分けます」
「8人家ぞくやもんなあ」
「(ここでボケよう)1人分は,(右手を挙げて手を握り,手首を曲げ伸ばしして)にゃんこになるでしょうか~」
タイミングよく,さきの子と,すえの子が大笑いしてくれました.ママと,あとの子は,きょとんとしています.
「う~ん,わかんにゃ~い,(両手を挙げて)お手上げ~」
さっきまで笑っていた2人は,輪をかけて笑ってくれました.笑わない2人のあいだで,子から親に向かって,「こんなボケ,せんかったら,いいパパやのにな」と小声で(しかしこちらに聞こえる声で)言っていました.