わさっきhb

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実家のドアを開けるには

 某年月日,午後1時45分ごろのことです.
 実家の母より,日付を時刻を指定の上で帰ってくるよう指示がありました.日付は書きませんが時刻は午後2時です.
 交通機関と天候を考慮し,2時より少し前に着く,と電話をかけて出発しました.交通機関の乱れもなく,堺駅には午後1時より前に到着.プラットプラットを見回って,昼食をとったあと,母に渡すためのデジカメプリントをしました.
 駅ビルを出て傘を差し,歩いて,角を曲がり,実家の建物が見えてきました.
 ここで,ドアをどのようにして開ければいいのかを考えてしまい,足取りが鈍くなりました.
 ピンポンを鳴らして「ごめんください」でしょうか.
 それとも,スライド式のドアをガラガラやって「ただいまぁ」でしょうか.
 などと考えながら,実家が近くに見えてきたとき,おかしな状況に気づきました.
 スライド式のドアが,開いているのです.
 さらに近づき,家の中が見えるくらいになったところで,玄関に,母が座っているのが見えました.
 「あんた,早かったね」
  「なんで母さんそこに」
 「あんたが来るの,待っててん」
 といったわけで,ピンポンを鳴らして「ごめんください」も,ドアガラガラで「ただいま」も,できませんでした.
 母が電話をかけ,実家の近くに住む兄を呼び寄せました.「母さんな,俺が来るまで,ドア開けて玄関で待ってたんやが」と兄に言ってみたところ,兄からの返答よりも前に,口を開いたのは母でした.「することなかったから,12時半くらいからずっと,待ってたんやで!」
 テーブルには,お盆の上の2本の牛乳瓶が,汗をかいていました.