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どういうときに「さん付け」で統一するとよいか

 年明け早々に,メールが来ました.
 「SOGI」に関して,教職員に周知を図る内容でした.
 メールに書かれたURLは,教職員限定らしいのですが,検索すると,昨年公開されているものがありました.

 「大学におけるSOGIの理解と対応」で,PDFとしては2ページですが,両面印刷して三つ折りにすることが想定されています.1ページ目の中央(三つ折りにすると後部になる面)の下段に,大阪市立大学大阪府立大学和歌山大学積水ハウスの名前とロゴが入っていました.
 2ページ目の中央(三つ折りにすると開いて真ん中に位置する箇所)に,絵入りで,見直しを促す情報が入っています.

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 「○○くん」「△△さん」と呼び分けるのは良くない,呼ばれる側は,あなた(呼ぶ側)が思い込んでいる性自認ではないかも,ということで,「○○さん」「△△さん」と,誰に対しても「さん付け」を推奨する流れがあります.
 個人的には2015年度から行っています.

 ただし,自分の周囲で,男子学生にもさん付けが励行しているようには見えません.研究室の学生には,私はみなさんを「さん付け」で呼ぶけれども,学生どうしの呼び方は不快にならなければ「くん付け」でも呼び捨てでもニックネームでもいいですよと伝えています.また,指導している学生のことを,学内の教職員に伝える際には*1,呼び捨てを基本としています(他の研究室の学生や,1年ゼミの受け持ち学生には,「さん付け」です).
 ところで誰にでも「さん付け」で呼ぶことについては,SOGIとは別の背景があるように思っています.社会学の分野では何らかの用語・概念があるのかもしれませんが,自分の語彙からだと「よそ行き」です.日常ではない場面で,「よそ行きの表現」として,「さん付け」を採用する,というものです.
 この「よそ行き」を強く感じたのは,さきの子・あとの子・すえの子が通っていた保育園の運動会です.開会式と体操のあと,かけっこで,1回につき数人の園児らがスタートラインに並び,近づけられたマイクに向かって「はい」と返事する前に,先生が言うそれぞれの名前は,「さん付け」だったのでした.日常は,男子も女子も「ちゃん付け」でした.
 大学に話を戻すと,「さん付け」の統一を推進する,よさそうなシチュエーションとして,修士論文卒業論文の発表会があります.司会者が発表者の名前を言うにあたり,「さん付け」にするというわけです.直接そのように提案したわけではありませんが,ある年度の卒業論文発表会で,自分が最初のセッションの司会をする際に,「さん付け」にしたところ,あとのセッションでも同様にしてくださったことがあります.
 ということで,男性だから女性だからという垣根を取り払うための「さん付け」ではなく,「くん付け」「様付け」「呼び捨て」など他の呼び方と比べ,不快感と呼ぶ側のコスト*2を低くする手段として,「さん付けの統一」を図ることになります.
 上で画像にして取り出した件は,学内のメインストリート内の立て看板や,学生センター入口の掲示にも,含まれていました.

*1:指導学生の成果発表で,学会の関係者に問い合わせて名前を挙げる際にも,呼び捨てすることになります.

*2:統一することで,負担が減るとは,必ずしも思っていません.慣れない人が,はじめのうちは「さん付け」だったのに,途中でうっかり普段づかいの「くん付け」にすると,室内に気まずい空気も流れます.