いきなりですが詰将棋問題です.相手玉を,詰ませてください.攻め方の持ち駒は銀1枚,受け方は残り全部となる点にも注意してください.
元ネタは,以下の本のp.2です.
そこに書かれていなかったけれど,いくつか失敗手順を挙げておくと,初手に7一銀不成(8一玉・9一玉のいずれでも8二銀打)としようとすると,6一の香が6三の(攻め方の)玉を取って,おしまいです.初手を9三銀とし,9一玉に,7一飛成で,合駒したら8二銀成で詰みと思うと,合駒を角(8一角)にして,6三の玉を狙って逆王手です.何この詰将棋と思った人は,wikipedia:大道詰将棋をお勧めします.そこの図1-Aは,7三の「と」を「金」に変えれば,『大道詰将棋の正体』の第1番(p.31)と同じです.
また別の背景もあります.
「長方形の対角線の長さは等しいことを証明せよ」を、詰将棋感覚で自分の頭の中で捉えるなら、ABCDが長方形のときに△ABC≡△BCDを思い浮かべてから、AB=DC、∠ABC=∠DCB=∠R、BCは共通 ⇒ △ABC≡△DCB(対応を修正) ⇒ AC=DB、かなあ
— takehikom (@takehikom) December 21, 2020
△ABC≡△DCBが詰将棋で言うと大駒など重要に見える駒を捨てる手になる。あと個人的には攻方と玉方で対話はしない。詰手数を手がかりにするのはよくないと将棋教室で教わったことがある
— takehikom (@takehikom) December 21, 2020
数学の証明,より正確には証明を書くための方針を立てることと,将棋の「読み」との関連付けを考えたときに,連想したのが詰将棋だったのでした.
といったところで解答…といきたかったのですが,頭の中で考えても,詰ませることはできませんでした.
この本に載っている,あとの問題には詰め手順が書かれていること,「「詰まなかったろう」と聞くと、「うん。詰まなかった」」(p.2)や「いずれにしても大道詰将棋屋がこういうあくどい商売をやっていたので」(p.3)あたりから,不詰め問題を客に出して餌食にした話なのかもしれません.
今は,お金のやりとりとは無用の世界です.詰将棋ソルバ(詰将棋の問題を解くソフトウェア)に入れてみるとどんな挙動を示すかが,気になってきました.検索して上位に出るのは学術文献ばかりでしたが,見ていくと一つ,ありました.
初期状態で出てきた問題は,1二金(打ち捨て!),同玉,2一銀不成,2二玉,3二金までの5手詰です.マウスのクリックで詰み手順を操作してから,いやいや操作するんじゃあソルバじゃないぞと思い直し,再読込して,盤面の下の「詰」のボタンを押すと,盤面の上にチェックマークと「詰みました」が表示されました.再び盤面の下の再生ボタンで,手を進めることができました.
それでは駒を配置して…問題です(再掲).
「詰」のボタンで,「詰みました」.
なんだか素晴らしい.それでは初手は…
7一銀不成! アカンやつ!!
再生を進めていくと,8一玉,7二銀,9一玉,8二銀不成,同玉,8三飛不成,9一玉,8一銀成(最後だけ成るんかい!)の9手詰で終わりました.
6一の香と6三の玉が,盤面の見た目以上に他の駒と距離をとっているように,見えてなりません.