いきなりですが問題です.
小学校の算数では,「3本の直線でかこまれている形」を「三角形」ということを,2年生で,また「6本の直線で囲まれた図形」を「六角形」ということを,5年生で学習します.
では,次の図形は,6本ではなく5本の直線で囲まれた図形なので,五角形なのでしょうか.
「3本の直線でかこまれている形...三角形」と「6本の直線で囲まれた図形...六角形」は,それぞれ以下で見ることができます.
- 三角形・四角形の概念形成と作図の習熟を目指した指導の在り方について~2年生「三角形と四角形」~ | 私の実践・私の工夫アーカイブ一覧 | 授業支援・サポート資料 | 算数 | 小学校 | 知が啓く。教科書の啓林館
- 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説算数編 p.251
6本ではなく5本の直線で囲まれていることは,それぞれの辺を伸ばすことで,確認できます.V字の左右の上辺について,直線が一致するので,これを2本ではなく「1本」としているのです.
といったところで解答です.小学校算数の「直線」は,中学校数学で学習する「線分」の意味で使用されていることがあります.問題の図形も,それぞれの「辺」を「線分」と見なして,色分けすると,6色です.「6本の線分」で囲まれた図形ですので,六角形です.
wikipedia:多角形では,「線分の閉じた有限鎖で囲まれた平面図形を言う」となっています.また『算数教育指導用語辞典 第五版』p.163は「多角形は,n個の線分によって囲まれた平面の部分をいう。」で文章が始まり,同ページ脚注の「線分」の説明では,「小学校では直線と区別せず,線分も直線といっている。」とあります.
今回の問題の着想を得たのは,以下の本のp.12です*1.
「図1 子どもから出てきた質問」という,ノートを撮影した一部の図があります(原文はモノクロ).この図形について「四かくけいですか?」と質問しています.
4本の(線分でない)直線は,以下のように表せます.
辺ごとに色を替えれば,こうです.
ここまでの図は,SVGを編集して作成し,JPEG形式に変換しました.SVGにおいて多角形の描画には,polygon要素が使用できます.問題の図形(幅も高さも400px)を作るにあたり,<polygon points="40,40 80,40 200,260 320,40 360,40 200,360"/>
,子どもから出てきた質問の図形については,<polygon points="40,40 200,200 360,40 200,360"/>
と書いていました.
小学校の学習をもとに作図可能な,囲む直線の数が辺よりも少なくなる図形として,星型多角形があります.https://scratch.mit.edu/で作成したプログラムと実行結果のスクリーンショットは以下の通りです.
拡張機能「ペン」を使用しています*2.「144度回す」を「72度回す」に変更して実行し直すと,正五角形になります.
*1:そのほか,同書のpp.204-210では,V字(2本の線分)などに直線を引くことで三角形を作る活動が紹介されています.