わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

テスト結果をどのように活用するか,活用するためにどのようにテストを実施するか

国学力テストについて,自分なりに書籍やWebで調査し,ときどきエントリにしています.とくに悉皆調査と抽出調査に関しては,NAEP(The National Assessment of Educational Progress. 全米学力調査)の存在を知り,さらに調べていきました.
これまでに読んだ限りの情報を総合すると,「NAEPは,日本の学力施策に,ほぼ影響を与えていない」と言わざるを得ません.加えて,「NAEPは,米国の学力施策にも,あまり影響を与えていない」ということも分かってきました*1.十分な規模,妥当な抽出率で実施され,結果は公表されていますが,州単位,学校単位では,その実施や結果について,あまり注意は払っていないように見えます.ただ,恵まれない生徒の学力改善に関する「Title I*2」という連邦資金の受給資格条件になっていて,選ばれた学校は実施に協力しています.
州や各学校において,学校運営に強い関心が持たれているのは,「スタンダードに基づく学力政策」と,州の一斉学力テストです.1990年代に全米で広まりました.2001年に成立したNCLB(No Child Left Behind.落ちこぼれゼロ)法は連邦法で,州の一斉(悉皆)学力テストを要請しています.この法に対して,テスト施策を修正したところ(例えばワシントン州)や,訴訟を起こした州(コネチカット州)もありました.
学力テストの成績がふるわなかった学校(失敗校,落第した学校)へは,もちろんさまざまな“てこ入れ”もなされます.落第校に在籍する生徒が,他の学校へ転校すること(チャータースクール.交通費は無料)も,可能となります.日本で,学校の成績不振を理由とした「チャータースクール」というと,学校選択制に関連づけることができるでしょう.
参考にしたもの:

1か月ほど前10日前の自分:

今回の調査を通じて,学校,自治体,全国レベルの学力調査と教育の質向上に関して,問題の大きさを痛感しました.「えらいもんに手ぇ出してしもたなぁ」です.当面は自分の身の丈にあった教育(講義・演習・学生指導)を行いながら,例題とそれに対する自分や学生の解答を書き,知識・技能の習得方法の提案をしていきたいと,思うようになりました.

*1:この2つの結果から,言えるのは,「NAEPを信奉しない」ではなく,「NAEPは目的・対象などを十分考慮して実施されてきたので,日本でも利用できるものなのか,内容や,実施による社会的な影響をよく考えないといけない」といったところです.

*2:「I」はローマ数字の1.

*3:翌日追記:pp.134-135(PDFファイルとしてはpp.6-7)のコネチカット州の主張は,細部に違いがありつつも,どうしても犬山市を連想します.