以下,説明抜きで様々な言い換えを記しておく.
- 私は分からない → 解明できた研究者は少ない
- 〜はバカだ → 〜の見解には再考の余地が残る
- 〜は嫌いだ → 〜が一般的に受容される可能性は少ない
- 〜を読みたくない → 〜を正当に評価することは困難である
- 〜を読まなかった → 〜の評価はまだ定まってはいない
- もうダメだ → 議論が錯綜してきたので,原点に戻ってみることにする
- 考えがまとまらない → 多少,迂路を辿ることになるが
- イヤになってきた → ここで筆を置くことにする
- 引用だらけになった → 様々な見解を年代順に整理してみる
- 合格させてください → 解明できた点は必ずしも多くはないが,若干なりとも寄与できたと思われる
(ぎりぎり合格への論文マニュアル (平凡社新書), pp.187-188.箇条書きは原文では地の文)
過去にページ番号の件で引用した本ですが,この新書の別の価値は,上記引用を含む「すぐに使えるフレーズ集」(pp.182-188)にあります.
個人的に使ったことのある言い訳とその書き換えを,書いてみますか.
- (先行事例などが)たぶんないと思うけど,絶対ないとまでは保証できない → 筆者の知る限り存在しない
- 成果まとめるか → 本研究の成果は,次の3点に集約される
なお,私が指導する学生の卒業論文・修士論文の原稿に,矢印の左のような表現はもちろん,右のような表現が見つかったら,削除するよう指示します.「筆者の知る限り存在しない」については,もっと自分なりに調査して,ないことを確信してから,単に「存在しない」あるいは「見られない」「行われていない」などの表現を用いるべきです.卒業論文・修士論文は,研究成果が何点もあるものではありません.一点に集中しましょう.