わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

全国学力テスト myまとめ

今,思うこと

自分は「教育」ではなく「研究」の観点から,全国学力テストの動向を観察していることに,気づきました.
目的を明確にし,その目的を達成するために最適な手段を用いる,というのが基本となります.目的と手段(手法)は,実施する権限のある者が定め,私を含む周囲の目で見て,疑問があれば指摘します.
疑問は様々な観点から発生します.今,思いつく限りで分類すると,「目的設定(課題設定)が,適切な現状認識のもとでなされた,妥当なものであるか」「採用する手法は,目的を確実に達成するものか」「もっと効果的・効率的な手段が,あるのではないか」「数量による結果は,過去あるいは同時に(時間的・空間的に別のところで)実施したものと比較可能か」「実施することで,誰にとってどのようなメリットが得られるか」「採用する手法は,非実用的ではないか(法律などに反していないか)」「実施そのものが,目的の範囲を超えて,好ましくない影響を与えるのではないか」といったところ.
しかし,全国学力テストに,こういった研究ライクの批判を入れると,うまくいかない点があるのも,分かっています.理由は以下の3つ*1

  • 一つのテスト実施に対して,目的が複数あること*2
  • 年度ごとに,目的は明文化されているが,毎年少しずつ,表現が変わっていること*3
  • 疑問を呈しても,適切な答えをもらえると,期待できないこと.

3番目については,全国学力テストに強い関心を持つブロガー間で,交流を図れればいいのですけどね,こうしてはてなダイアリーに書くことでしか,この件の関心を表明できない,自分としては.
今後の予定ですが,[本][教育]のカテゴリーで明日書きたい話があります.その続報を,明晩か明後日に書いて,その次にもう一件,[MyBest]のエントリーを作り,それからはいつもの雑記です.そういえば最近,親馬鹿やってないなあ.

*1:実施によって,事前・事後に,関わる人々の知識や認識が変わり得ることは,理由に入れないことにします.自分の研究の範囲内で,システム評価実験を行い,主観的評価により構築したシステムの有用性を確かめるといったときには,システムをスムーズに使ってもらえるよう,実験前にガイダンスをしたり操作方法を説明したりします.また利用による意識の変化をアンケートで問い,実験協力者から効果を引き出そうという試みも,当然のように取り入れています.

*2:全国学力・学習状況調査」という名称に引きずられて「全国レベルの調査なのだから統計的に処理すればよく,悉皆調査は不要」と批判すると,「いえ,都道府県や市区町村,学校のことも考えておりまして…」と反論されます.「抽出調査だと,不適格教員を見つけられないじゃないか!」という批判を俎上に乗せて,溜飲が下がるなら,それでもいいでしょう.manpageを読まずに「この関数は,自分のしたいことと,違う!」と吠えても無駄です,というのは別の話.いずれにせよ,批判する側は,最低限,文部科学省がWebで公表している文書を読んでからにしたいものです.

*3:論文は,提言型や,経過報告型でない限り,問題解決のための論考なり評価実験なりを終えてから,文章化され,出版され,それが批評の対象となります.それに対して学力テストは「ご疑問は重々承知ですが,事前にすべてを解決してからというのでは何もできませんので,実施しながら,改善を図りたいと考えております.…」と逃げられる余地があります.