- 作者: 杉原厚吉
- 出版社/メーカー: 水曜社
- 発売日: 2010/01/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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大学生活にどっぷりつかり,またその中での苦楽を日記にて文字にしている者として,この本から,ときには共感を覚え,ときには「上の世界」「知られざる世界」を見せていただきました.
講義,研究室での学生指導,研究資金獲得,論文,管理運営,入試,学会・国際会議,審査,非常勤*2,著作,研究成果や専門知識の社会還元,そしてセルフマネジメント*3…教授のすること,考えないといけないことはたくさんあります.
ここから連想したのは,How To Become A Hacker: Japaneseの『この世界は解決を待っている魅力的な問題でいっぱいだ』です.ということで本日のエントリの副題は,これのタイトルをいじったものとしました.
あとで引き直せるよう,本の中で気になったところをリストにしてみます.
- 著者に来るメール(pp.12-13)
- 多忙だがストレスはない(pp.14-15)
- 講義のスライド原稿→ダウンロード可に→書籍化・教科書化→ダウンロード不可に(pp.29-30)
- 学生のために研究テーマを用意(pp.38-40)
- 研究において学生とは対等(p.50)
- 学会参加に関する研究室ルールとそれを制定するに至った事情(pp.52-55)
- 秘書がTeXnician(p.61)
- 地域の政治的事情(pp.112-113)
- 締め切りを守った者がバカを見る (p.128)
- 「理科系のための英文作法」,談話文法(p.132)
- きれいな問題,泥臭い問題(pp.148-149)
上からあえて一つ引用するなら,締め切りついて書いたところ:
しかし,多人数で執筆すると,締め切りを守らない著者が必ずと言っていいほどおり,時には発行が予定を大きくずれてしまうことがある.そういう場合には,締め切りを守った者がバカを見る.なぜなら,自分の分担したテーマについて最先端の(つまり最も新しい)内容を執筆したつもりなのに,発行の時点では古くなってしまうからである.引用文献も何年か前のものに止まっており,とても最先端とは言えないものになってしまう.反対に,締め切りを守らなかったために発行遅れの原因となった原稿には,本当に最先端のことが書かれている.同じ一冊の本のなかにそのような原稿が並ぶわけだから,締め切りを守った原稿は,古くて間の抜けたものに見え,締め切りを守らなかった原稿が新鮮に見えてしまう.
(p.128)
「締め切りのパラドックス」とでも言いましょうか.難しいですねこれ.著書ではないのですが,学生時代,サークルで編集に携わって,原稿やイラストの募集・管理をし,埋め合わせに自分でも文章を書いたりしたことを思い出しました.しかしそれは,金銭がかかっていなかったし,サークル活動でしたから,まあ楽しくすることができました.著者間の人間関係や,出版社に迷惑をかけるということにもなりますので,大変さは比べものにならないでしょうね.
無責任な笑い飛ばし路線に転換するなら,“締め切りの種類”でしょうか.自分の頭には,「表の締め切り(公的な締め切り)」「裏の締め切り」「真の締め切り」「本当の締め切り(これに間に合わなかったら落とされる)」があります.先日,何だったかで思い出し,少々おもしろおかしく妻に言ったところ,笑ってくれました.
まだあったはず…ちょっと調査すると,「仮の締め切り(自分のための締め切り?)」*4,「絶対の締め切り」*5というのが見つかりました.