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将棋のマスの数から

いきなりですが問題です.

  • 通常の将棋盤のマスの数は,いくつですか? 式と答えを書きなさい.
  • 将棋盤のマスの数から始めて,興味深い結果を引き出しなさい.

将棋のマスの数

将棋盤のマスの数は,wikipedia:将棋盤に『縦横9マスずつ、計81マスである』と書かれているので,これでおしまいと言ってもいいのですが,念のため図を描いて,かけ算の式で表しておきます.

右端から左に進むよう,「筋」を指さすと,「一,二,三,四,五,六,七,八,九」で9つです.その後,上端から下端まで,「段」を指さすと,こちらも「一,二,三,四,五,六,七,八,九」で9つです.連続して数える場合,左上隅を2回指さす必要があり,これを忘れると,9×8=72(くはななじゅうに)になってしまいます.
もちろん正解は,9×9=81(くくはちじゅういち)の81マスです.

囲碁,チェス,リバーシの盤

さて,「興味深い結果」を巡る旅へと参ります.将棋が出たのですから,やっぱりとっかかりは,囲碁でしょうか.
囲碁の場合は「マス」ではなく,縦線と横線の交点に石を置いていきます.wikipedia:碁盤を頼ると,19路盤で『交点(目)の数は361』とあります.そういえば19路盤よりも小さなのもあるのでした.目であって眼はまた別物でした.19×19=361は,素直に筆算してもいいし,20×20−20−19とか,20×20−20×2+1とかすれば,暗算で求められます.
チェスについてはwikipedia:チェスボード.マスの数こそないものの,図から8×8=64で,64マスなのは明白です.
チェスで連想するのは,リバーシです.一般に言うオセロのことです.wikipedia:オセロ_(遊戯)ですか.シェイクスピアのオセロと,関連はあるのですね.余談はそこまでにして,ページ内に『8×8=64の升目』を見つけました.

トランプのカード,麻雀牌

でも面白みがありません.先ほどまで挙げたゲームは,盤に着目していました(それと,平方数であるという共通点もあります).盤から,離れてみますか.
まずはトランプ.通常遊ぶ1セット(「デッキ」ですね)から,ジョーカーを取り除くと,52枚になります.Aが4枚,2が4枚,…,Kが4枚で,4×13=52です.あるいは,スペードが13枚,ハートも13枚,ダイヤも13枚,クラブ*1も13枚で,13×4=52です.トランプ配りを考えなくても,かけ算の交換法則を見出すことができるのか!?*2
でもまだ不満です.そもそもトランプは,どのカードも違っているのです.
もう少し別のものに目を向けると…いいのがありました.麻雀牌です.wikipedia:麻雀では,『日本においては34種類136枚の牌を使うのが一般的』.そうですね.式で表してみましょう.まず,萬子(まんず*3),筒子(ぴんず),索子(そうず)で9種類ずつなので9×3=27,27種類.字牌は,東南西北(とんなんしゃーぺー)白発中(はくはつちゅん)で7種類.足して34種類.1種類につき4枚同一*4のがありますから,かけ算で,34×4=136.こうして,136枚が確認できました.

4×34=136ではないの?

おかしい,おかしい.
「34×4=136」は,要見直しです.34に付けていた単位は「種類」,136の単位は「枚」です.いかに《無頓着派》といっても,これは引っかかります.
「1つ分の大きさ」×「いくつ分」=「全体の大きさ」に従って定式化するなら,4×34=136としないといけません.単位付きだと,4枚/種類×34種類=136枚です.
ここから,興味深い結果を引き出せればいいのか…
実は,ゲームの数と別に,かけ算の式でこの種の書き方をしているところがありました.

それから,「88×3=264バイト」という式についても,1文字あたり3バイトで88文字あるのだから,「3×88」と書くべきだったのでした.

自分の「×」の使い方

今回の件と合わせると,「1つ分の大きさ」×「いくつ分」=「全体の大きさ」から外れて,式にしたい条件*5が見えてきます.
一つは,かけられる数が,かける数よりも大きいことです.主観なのですが,「4×34」は,「34×4」よりも,何とも安定性に欠ける式に思えます.あるいは,この2種類で,筆算をするときどちらが答えやすいかを考えてみるのも,いいかもしれません.
もう一つは,「34種類」や「88文字」が意識として先にあり,「1種類につき4枚」や「UTF-8の概算では1文字=3バイト」というのは後にあるという点です.このとき,「4」「3」は1つ分の大きさというよりは,定数倍,すなわち「×4」や「×3」とみなすのが自然だ,という見方です.
これまでの《問い》に当てはめると,まず「3×5」よりも「5×3」のほうが,九九を覚えていなくても数え上げで求めやすいことは,最近指摘したとおりです.また,問題文には先に「5」,後に「3」が現れますから,「5×3」と書かせたくなる要因にもなっています.
それでも「5×3」をバツとするのは,結局のところ『「1つ分の大きさ」×「いくつ分」=「全体の大きさ」』を適用して式を立て,答えを求める問題だということです.別の言い方をすると,『「1つ分の大きさ」×「いくつ分」=「全体の大きさ」』を重要視する《問い》だったのであり,そういう縛りが緩くなればなるほど,被乗数と乗数を逆にした式を間違いとみなす可能性が低くなる(ただし,ゼロであることは現在の小学校教育において保証されない)と言えそうです.

*1:娘にトランプを教えるときは「これはクラブ」と教えたいのだが,妻が許してくれないだろうな….

*2:念のため単位付きで式を書くと,番号に着目するのは4枚/種類×13種類=52枚,スートに着目するのは13枚/種類×4種類=52枚です.

*3:ヤングマガジンで表紙を飾った「おマンズくらぶ」と,BE-BOPアジア選手権の「弟に千円渡してヤンマガ買ってこいと言ったら,5冊買ってきた」は一生忘れない名作です.何十年前の話だ?

*4:ポインタ,identical

*5:現段階では,必要条件でも十分条件でもありません.