わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

印象に残る説明

週刊とりあたまニュース 最強コンビ結成!編

週刊とりあたまニュース 最強コンビ結成!編

本を読むと,ときどき,著者が読者を暗に選別しているのではないかと思うような,フレーズだとかエピソードだとかを目にします.『美しい国へ (文春新書)』の,たしかはじめのほうに,安倍氏が高校のときのエピソードがあったはずです.そこで立ち読みを止めて,本を戻した記憶があります.
当雑記でも,「これこれの読者お断り」と書くことがあります.露骨なのを一つ:

読者は選ばない本だと思いますが,解説込みで300ページ以上ある本を読みたくない人,死なんてもっと先のことでしょという人,犬派の人,「うちの猫,最高」という人は,おそらく読まないほうがいいでしょうね.

オスカー

冒頭の本でも,まえがきに,読者選別の言葉がありました.

(略)例えば,ロシアと中国の戦略的パートナーシップについて,外交官時代,私はこんな風に説明した.
「ロシア語で戦略的(ストラテギーチェスキ)とは,人前でつかみ合いの喧嘩をしないという程度の意味です.ロシア人は中国人を,草の根の国民レベルで嫌っています.政府が(略)と言っても,国民の(略)というのが実態です.それだから,中露が軍事同盟をつくって日本に対抗するというシナリオはありません.戦略という言葉に過剰反応しないことです」
内閣総理大臣外務大臣も「君の説明はわかりやすい.腹に良くはいる」と言って,熱心に耳を傾けてくれた.まず,こうやって基本的な枠組みについて印象に残る説明をし,その後で条約の規定,過去の経緯,統計の数字など細かいデータを伝えると,有力政治家の頭作りがきちんとできる.(略)
(p.6)

こうして抜き出してみると,分かりやすさってこういうことかと感じる人もいれば,何が印象に残るのと疑問を持つ人もいるかもしれませんが,それは,コラム担当・佐藤優氏の発言のうち,こちらで2箇所入れた「(略)」によるものです.書店でお確かめください.当雑記で書くには気が引けますし,当たるか外すか,バクチのような1文ですが,首相・大臣への説明にせよ,読者向けのイントロにせよ,インパクトは抜群です.