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4年生のうちに学会発表したい人!

さてそろそろ,月末の3年配属のことを考えることにします.まだ研究室紹介用のスライドは作っていません.
研究活動の方針は,こんなところ:

  • 作るのはデータベースシステムだけど,使うのは必ずしもDBMSではありません.
  • 卒論は単著だけど,研究は一人でするものではありません.
  • 卒研の活動が,院生や教員の発表の共著になることはあるけれど,学部生で学会発表は勧めていません.

ここで,最後の項目に書いた「学部生で学会発表」を,自分の研究室でできないものかというのに,深入りしてみます.
もう少し,対象を明確にすると,「卒業研究実施の年度で学会発表できるか」です.なので「卒研発表後に,3月の全国大会で発表する」は含まれますが,「卒研の内容を,年度が替わってから(院生になってから,あるいはまれにですが就職してから)学会で発表する」は含まれません.余談ですが,かつて助手をしていたときの研究室で,企業との共同研究なのと他の先生からのアドバイスがあったのと,高専からの編入という,特別な事情が積み重なって,3年生で学会発表をしたという事例もありました.
「学部生で学会発表」のメリットとしては,院に入るより前の段階から,発表・質疑を通じて,研究者らの世界観や価値観の一端に触れられるというのが,まず第一でしょう.進学後の研究を含む,今後の研究活動を効率化することも,期待できそうです.それから,発表を,自身の経験値にプラスするだけでなく,研究室の他の学生にも伝えてもらいたいものです.現地のおいしい料理というのも,そこに入るはずです.
その一方でデメリットもあります.まず,学会発表で求められるもの(成果)と,卒業研究で求められるものが異なるということが,自覚しにくいという点です.「学会発表したんだから,それをそのまま卒論にすればいいじゃないか」という発想にならないかということです.
他には,同じ学年すなわち卒研生の皆が学会発表できるわけではないので,そこに目に見えない壁が生じるかもしれません.研究室外の研究をサーベイしながら,卒業研究のオリジナリティを示すことはできても,卒研の1年弱の活動が,教員の目から見て外部発表できるわけではありません.なお「壁」は学生どうしの間だけでなく,教員と各学生の間にも,起こり得ます.
学生・教員が卒論の取りまとめと別にかける労力や,旅費・参加料などといったコスト*1の件も,まあデメリットとして書いておくべきでしょう.
それで今回,何をしたいのかというと,3年後期に配属されてから卒業するまでの1年半のあいだに,成果を挙げ,学会発表したいという意欲のある学生を,1名くらいは採ることができないかと考えているのです.これまでやっていないので,まずは1名からです.そもそも,これまでの研究室運営や,3年生の状況を考えると,希望を出す全員が,学力・能力がじゅうぶんにあり*2,研究や研究室の活動に意欲的,ということはないのですが.
まあ説明会やオープンラボで,こちらから,この“研究室内エリートコース”のことを話さないようにはするつもりです.ここに書きましたので,関心・意欲のある学生を期待したいと思います.
期間を決めて成果を挙げること,学外の専門家とディスカッションできるための素養・技能を身につけること,研究室(教員=私が含まれます)に,学んだり自分でつくり上げたりしたノウハウを残すことは,4年で就職するにせよ大学院へ進むにせよ,対外的には武器となり,自分にとっても,充実の経験となることでしょう.


研究室配属に関して,過去に書いたこと:

*1:「学部生で学会発表のwhy」とでもいいますか,「年度中に学会発表をさせることに意義はあるのか? 卒業研究は卒業研究として取り組ませ,春休みにも活動してもらって,M1のはじめに発表させるほうが,本人にも研究室運営においても効果的なのではないか?」という問題意識は,無視するわけにいかないと思います.

*2:手軽にチェックできるのは,「4年で履修するのは卒業研究だけか」ですね.