わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

27分

今回の学会では,口頭発表の時間は1件20分で,15分間の発表と5分間の質疑応答が目安とされていた.しかし,15分以内で発表を終える人は希で,20 分ギリギリまで話す研究者が多い.このため,終了3分前(17分)くらいになると,座長(司会者)が立ち上がるなどして,「そろそろ終われよ」という合図を送る.普通なら,それで発表を急ぐのだが,この年配の教授はマイペースだ.まるで意に介す気配がない.
(略)
結局,発表は27分ほどで終了した.
実は,衝撃的だったことが,もう1つある.この状態で,座長が質問を受け付けたのだ.ありえない...

衝撃的な学会発表 | Chase Your Dream !

いやごくろうさまです.
さて「27分」といえば,昔むかしのことを思い出します.たしか学科の2期生の,卒業研究発表会のための発表練習でした.当時は教授+助手の研究室で,卒研生は9名おり,一人30分を目安に指導しましょうとなりました.本番の話す時間は10分です.ストップウォッチを持って,時間を計りました.それと,聞くのも勉強になるからと,卒研生もみな,練習をするゼミ室にいること(研究室で作成準備などしてはいけない)としました.
ある学生のしゃべりに,学生も教員も,聞き入りました.10分を超えているのは体感しているのですが,止めることができませんでした.終了ということで,ストップウォッチを止めると,なんと27分.繰り返しますが,10分で収めないといけないのに,リハーサル段階で,倍以上の時間になっていました.指導モードで,教員も我に返り,小手先ではなく内容削減の方針を考えアドバイスしました.
あれこれあって,当日はうまく乗り切っていました.その後に衝撃的なことが一つあって,その学生が,学科の中の最優秀学生に選ばれたのでした*1.控えめではあったけれど,研究をきちんと進めていた学生でした.早々就職を決め,進学しなかったのが,まあ残念ではありました.

学生を含めた若手研究者に伝えたい.

私からも,アドバイスを.

  • 「発表時間」と「話す時間」は区別しましょう.学会・国際会議で提示される「発表時間」は,多くの場合,「話す時間」と「質疑時間」の合計です.「発表時間」だけが書かれている場合*2,その2〜3割程度を質疑の時間と考えるべきです.
  • スライド作成の段階で,何度も,以下の2点をチェックしてください.
    • 聞き手が,このスライドを見る前に知らないことは何か? このスライドを見終わってから,知ってもらうべきことは何か?
    • 聞き手が,自分の発表の前に知らないことは何か? 自分の発表が終わった段階で,知ってもらうべきことは何か? このスライドは,その知ってもらうべきことに対して,どのように寄与するか?*3
  • リハーサル(通しで話す練習)より前に,「スライド単位で」話す時間を計測してください*4.3分かかるスライドを2分半にするのが,1分かかるスライドを30秒にするよりも,簡単ですよね?
  • スライドは,学会へ行く前に,完成させておきましょう.
  • RFCに書かれた「送信は厳格に,受信は寛容に」*5は,プレゼンをしたり聞いたりするときにも思い出しましょう*6

*1:卒業に際して,毎年,学科で最優秀学生を選んでいます.基本的には成績です.(5学科あるので)5年に一度,学科の最優秀学生が学部の総代として,卒業式で表彰されます.この学生は総代にはなりませんでしたが,数年後,研究室の学生でおりましたねえ確か.

*2:「発表x分,質疑y分」と提示されていれば,もちろん,x分がまるまる「話す時間」です.

*3:寄与の少ないものから削除しましょう.

*4:http://www.wakayama-u.ac.jp/~takehiko/app+img.html#zjs, http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20100722/1279744831の「2またはピリオド」

*5:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20090909/1252441187

*6:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20100410/1270845457