わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

資料が主,判断が従

雑報です.

1. 乗数効果

[Greer 1992]の乗数効果に関する記述を,読み直しました.

For multiplication, they proposed that the primitive model is repeated addition. In an equal-groups situation, such as 3 children having 4 oranges each, the situation can be conceptualized as 4 oranges + 4 oranges + 4 oranges, and the answer can then be calculated by repeated addition. This representation generalizes naturally to a situation such as 3 children having 4.2 liters of orange juice each, which can be conceptualized as 4.2 liters + 4.2 liters + 4.2 liters. For a situation to be assimilable to this model, the crucial factor is that the multiplier must be an integer; no restriction applies to the multiplicand. Moreover, this model of multiplication carries the implication that the result is always larger than the multiplicand.
For equal groups or equal measures, this condition is met by definition. However, the multiplicand/multiplier distinction applies in other classes of situation (see Table 13.1) and, in general, multiplicand and multiplier may be integers, fractions, or decimals. For example, consider the following contrasting pair:
A rocket travels at a speed of 16 miles per second. How far does it travel in 0.85 seconds?
A rocket travels at a speed of 0.85 miles per second. How far does it travel in 16 seconds?
From a purely computational point of view both problems involve the multiplication of 16 and 0.85, but the former is more difficult to envisage as requiring multiplication for solution; many children, indeed, judge that the answer would be given by 16÷0.85 (Greer, 1988).
Results from several experiments using problems from a variety of situation classes consistently show the multiplier effect (De Corte, Verschaffel, & Van Coillie, 1998, p. 203), namely that the difficulty of recognizing multiplication as the appropriate operation for the solution of a problem depends on whether the multiplier is an integer, a decimal greater than 1, or a decimal less than 1 (Bell et al., 1984; De Corte et al., 1988; Fischbein et al., 1985; Luke, 1988; Mangan, 1986). The size of the effect, in terms of the difference in percentage of correct choices, is of the order of 10-15% for the difference between integer and decimal greater than 1 as multiplier. For the difference between integer and decimal less than 1, the size of the effect is of the order of 40%-50%. When the multiplier is less than 1, there is the added difficulty that the result is smaller than the multiplicand, which is incompatible with the repeated addition model. By contrast, the findings from these experiments show that it makes no appreciable difference what type of number appears as the multiplicand. Thus, these results for the interpretation of word problems modeled by multiplication show a clear pattern that is consistent with the theory advanced by Fischbein et al.
(p.286)

乗法に対して,彼ら*1はその原始的なモデルは累加であると述べた.「同等のグループ」の場面,例えば3人の子どもが4個ずつオレンジを持っているというとき,その場面は4+4+4として概念化され,その答え(総数)は累加によって計算できる.この立式の仕方は一般化して,3人の子どもが4.2リットルずつのオレンジジュースを持っているという場面にも適用できる.式は4.2+4.2+4.2と表せる.このモデル(累加モデル)に属する場面の,重要な特徴は,乗数が整数でなければならないことである.被乗数に制約はない.さらに,このモデルでは,結果が常に被乗数よりも大きくなる*2ことを含んでいる.
「同等のグループ」あるいは「同等の量」に対して,この性質は明らかに満たされる.しかし,被乗数と乗数の区別は(表13.1にある)他の場面の分類にも見られ,そのとき一般に,被乗数と乗数は整数・分数・小数のいずれでもよい.例えば,次の対照的なペアを考えよう:
あるロケットは1秒間に16マイルのスピードで進む.0.85秒ではどれだけ進むか?
あるロケットは1秒間に0.85マイルのスピードで進む.16秒ではどれだけ進むか?
純粋に,計算の観点では,どちらの問題も,16と0.85をかければ答えとなる.しかし前者のほうが,答えとして乗法を使用すると考えるのが難しい.実際,多くの子どもたちが,16÷0.85を解答として選択している*3
様々な分類の(乗法の)場面に基づいた出題で,実験がなされ,いずれも乗数効果,すなわち,ある問題を解く際に適切な演算として乗法を認識・選択することの困難さが,乗数が「整数」「1より大きい小数」「1より小さい小数」のうちどれであるかに依ること,を示している.効果の大きさを,正答率の差で表すことにすると,乗数が「整数」と「1より大きい小数」の間では10-15%である.乗数が「整数」と「1より小さい小数」の間では,効果の大きさは40-50%になる.乗数が「1より小さい小数」のとき,積が被乗数よりも小さくなる(累加モデルには見られない)ため,難しさがアップしている.その一方で,これらの実験の知見として,被乗数が「整数」「1より大きい小数」「1より小さい小数」のいずれであるかは,感知できるほどの違いを見せていない.乗法の文章題の解釈に関する,この結果は,Fischbeinらが提案した理論に合致し,明確なパターンを示している.

[Greer 1992]の,当雑記での初出は10月13日です.「Table 13.1」とは,エントリ中の「p.280を丸ごと使っている表」のことです.
上記英文に関して,「0.85 seconds」「0.85 miles」(1未満の数のときは単数形にするのが普通)は,原文ママです.除算の演算記号が「÷」であるのも,原文どおりです.共著の文献情報で,&の前にカンマを置くのは,そういうスタイルのようで,参考文献でも同じでした.
乗法効果については,10月3日で日本の調査事例を紹介しました.そこに見られる参考文献は,上記英文に入っている引用とかなりの部分,重なります.
平成19年度の全国学力テストの出題も,密接に関係していると言っていいでしょう.小学校算数Aの大問4で,210×0.6の式になるものを,4つの文章題の中から一つ選ぶという出題です.誤答の3つの選択肢は,いずれも210÷0.6の式で表されます.この出題に関して,解説資料では,見出しを「演算決定」としています.上の英文の2つ前の段落で,choice of operationが斜体字になっており,これを和訳すると「演算決定」です.

2. [Greer 1992]のインパク

[Greer 1992]が,個人的な「かけ算」の理解を進めることができたのは,次の2点によります.

  • 多数の文献をもとに,かけ算で表される場面を分類しています(〈乗数と被乗数が区別される文脈〉が7種類,〈乗数と被乗数を区別しない文脈〉が3種類).
  • Vergnaud, Schwartz & Kaput, Nesherの文献と,分類を比較した表があり,その中で[Greer 1992]が最も細かく分類されています.

そしてこれらは,《積の乗法》を《倍の乗法》に帰着させる際,《積の乗法》としてどのような問題を考えれば十分であるかを知るのに,役に立ったのでした.

3. 子どもたちの認識

土日と,Twitterであれこれ書き,リプライもいただきました.
その中で,「問題を解く子どもたちの認識」が,見解の相違の根本にあると,考えるようになりました.
りんごのかけ算を例にすると,こうです.

「さらが 5まい あります。1さらに りんごが 3こずつ のって います。りんごは ぜんぶで 何こ あるでしょう。」という出題と,「しき」と「こたえ」を書く欄があります.
子どもは「しき」に「5×3=15」,「こたえ」に「15こ」と書きました.

このとき,どのような思考プロセスで,「5×3=15」と書いたのでしょうか.
児童がどのように考えたのかが,少しでも書かれている情報を,集約してみました.

どんな九々をつかうかという問に対して,3×2=6と答えたものが予想以上に多いことがわかった。これによってこどもは問題に出てくる数を,その数の意味を深く考えもしないで,出てくる順に書き並べ,その間に,かけ算記号を書き入れることがわかった。問題に出てくる数を頭の中にいったん収めて,演算の決定に導くように問題の場を組織だてる力が欠けているらしいことがわかった。

V. 算数についての評価

この点について、担任の先生と教頭先生の話を総合すると――「Kさんのような考え方は認めるが、現実に授業のなかでそういう考え方をするこどもはいなかった。6×4と式をたてた子に聞いてみると、文章題のなかで6という数字が先に出ているから、というにすぎなかった。(略)

1972年1月26日の朝日新聞の記事 | メタメタの日

1単位の持つ数量「2」が「5つぶん」あることを「2の5倍」としてとらえ,さらに,2×5の式に表せるようにする.このとき,5×2と表す子どもが意外に多い.1単位のもつ数量や,何倍のとらえ方が,見方によっては反対になることもあるから,そのうちの1部は正しい考え方をしているのではあるが,一般にはとらえ方があいまいで,2と5の数字のみにとらわれた結果であるとみられる.
(『算数子どもの考え方・教師の導き方 2年』, pp.98-99)

一週間ほどのちに、遠山先生に以上のことをお話したら、
「矢野くんはやっぱり算数は素人だね。実際、矢野君の言うように考える子がときどきあるんだよ。われわれはこのような配り方を、カード式配り方と呼んでいるがね」
ということであった。
つまり、遠山先生のお考えによれば、いやしくも数学の教師たるものは、乗法の交換法則4×6=6×4に対してもここに述べたような二つの方法による説明を知っているべきである、ということであった。
(『おかしなおかしな数学者たち (新潮文庫)』, p.124)

子どもたちは,文章のはじめにある数字を〈1あたりの数〉として式を作ってしまいます。ですから,はじめに「数字の出てくる順番ではない」ということを言い,何を箱に入れてかけ算のしきを作ったらよいか考えるよう指導します。
(『算数入門 かけ算プリント集―すぐに授業ができる解説付』, p.44)

1回で文意が理解できない子には、2回でも3回でも、ゆっくりと語り聞かせるように繰り返し話してやります。問題の中身が分かったら、式を書かせてみてください。きっと、十中八九は失敗します。「ひっかかったわね。落とし穴にはまったわ」とおどけてやりますと、子どもはいぶかります。きょとんとしています。子どもはきっと「6×3=18」という式を書いています。
(『どの子も伸びる算数力』, p.172)

正しくは5×4なのであるが,問題文の中では,4の方が5よりも先に使われているので,4×5だと考える子がいるようである
(『板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 小学校算数2年〈下〉』, p.48)

今回の調査結果で、6×15と立式するところを、問題文に出ている数字の順に15×6と立式した誤答が60.0%と圧倒的に多かったことはそのことを示している。第3学年以降の整数や小数、分数の乗法の学習でも、単元の初め等で数直線を活用し、被乗数と乗数を意識して式を立てる指導を繰り返し行うことが重要である。

小中連携の視点からの授業改善

例えば,次のような文章題を考えさせてみます。「船が5そうあります.1そうに4人ずつ乗ることにします。」このような問題文になっていると子どもは必ず式を間違えますよね。「5×4」と書きます。今まで文の中に出てきた順番に数を使って式を書くだけで,ずっと丸をもらえていた子たちは,必ずこういう問題で引っかかります。
(『田中博史の算数授業のつくり方 (プレミアム講座ライブ)』, p.62)

「5枚のお皿に柿が3個ずつのっています。柿は全部で何個ありますか。」というような問題では,問題に出てくる数字の順に「5×3=15」という式を書いてしまう場合があります。これは,問題の場面をしっかりイメージしていなかったり,乗法の式の意味を十分理解していなかったりするためにおこると考えられます。
(『トップクラス問題集算数小学2年―中学入試をめざす 徹底理解編』, 答えと解き方 p.27)

(1) おかしが、1枚のさらに2個ずつのっています。さらは3枚あります。
(2) さらが3枚あります。1枚のさらには、おかしが2個ずつのっています。
この文を式で表すと、どちらも「2×3」になるのだが、子どもに立式させると、(2)を「3×2」としてしまう間違いが見られる。文に出てきた数を、そのままの順番でかけ合わせるという間違いである。文を読み取り、具体的な場面をイメージできなかったことが、間違いの原因の1つと考えられる。
(『誰もができる子どもに活用力をつけるワクワク授業づくり―第2回RISE授業実践セミナーの報告』, p.67)

かけ算を習ってしばらくしてから,次のような問題を出すと,多くの子どもたちは,問題文に出てきた順番通り立式しようとする。
(『時代を拓く子どもが育つ授業―新学習指導要領は子どもに何を求めているか (算数授業研究シリーズ)』, p.21)

一般に,具体的な問題は,「基準量」と「いくつ分」が,この順番で示されているので,演算の意味を考えもしないで乗法の式に表す傾向がある.乗法の演算の意味を深めるためには,次のようなかける数とかけられる数が入れ替えた問題を取り扱い,確かな乗法の演算の意味理解を図ることが大切である.
(『小学校 算数科の指導』, p.69)

昭和40年(1965年)ごろ,「5円の品3個の代金の立式は,3×5ではダメなのか」の論争が大阪や神戸から湧き起こった。それは海外で教育を受けた子どもが日本に帰国して授業に臨むと,上記問題の正答は,5×3のみで,3×5はダメという指導に遭遇した。そこで,帰国した子どもの親から担任教師に対する反発が起こり,問題化していった。
(『算数・数学教育つれづれ草』, p.46)

数えてみると…

  • トランプ配り: 1例
  • 外国では反対に書く: 1例
  • 数字にとらわれる: 1例
  • 先に出現する数をかけられる数とする: 11例

この数をもとに,間違える児童は圧倒的に,先に出現する数をかけられる数としているのだ…という主張は無理です.11例を本当にそこに入れていいのか,教師・著者・分類者の思い込みではないのかといった疑問を,ぬぐい去ることはできないからです*4
もう一つ言えるのは,「3×5」を正解とする出題に対して,かけられる数とかける数を逆にして「5×3」のように書くのを,どのような思考プロセスで行ったかに関する,調査が見られない点です.学術的なもの(学会誌・論文誌・紀要など)ならなおよしですが,そこまでいかなくても,第三者のチェックに耐えるような内容を,Web上で公開してくれればと思うわけです.
考えてみれば,トランプ配りも,外国の話も,(上には出ませんでしたが)交換法則を根拠とするものも,子ども本人がそう考えているということが明確に記された文献はなく,「大人の主張」なわけです.
じゃあ思考プロセスは未解明なのか,どの理由も同じ確率で発生しているのかというと…それもまた乱暴であり,これまでの情報をもとに,推測するしかないのです.そしてそこに,見解の相違が発生するわけです.
私自身は,多くの著書から読み取れる学習環境・既習内容を踏まえ,「先に出現する数をかけられる数とする」のを理由としているのが圧倒的と判断しています.そして,「図にしてごらん」と言われて図にして「あっそうか」で,間違いを納得するだろうとも思っています*5
その判断に至るまでに,上記に限ることなく書籍や記事,そしてWebで見かけた学習指導案をもとにしています.興味深いWebページは,はてブして,5×3またはかけ算の順序のタグをつけ,あとで読めるようにしています.それと,大学の授業で小テストや試験を実施し,正解率を出していると,どのような形で何を問えば率はどれくらいになるか想像できる,というのもあります.
そういったわけなので,子ども本人がこれが正しいと,明確な信念を---トランプ配りか積指向か,交換法則か外国の表記か,それ以外かは分かりませんが---もって,「5×3」と書くのは,いそうにないなあとも考えます.繰り返しになりますが,実際に解答を書く際には,ベストを尽くしていても,バツがつけられた答案を見て,先生の説明を聞けば,「あっそうか」です.*6
学習指導要領だとか教科書だとかいった「教える内容」もさることながら,授業の進め方や「学級づくり」が大きいと考えています.先生・児童の信頼関係は学級次第*7なので,日本一律どこででも同じ学級運営,なんてわけにはいきませんが,だいたいこうだなというのを,123のエントリでそれぞれ挙げた書籍を通じて,推測しているのです.
久しぶりなのでちょっと弱めの毒:子どもは,泣いていません.困っていません.なぜ間違いとされたのかを教わり,それまで学んだことを思い出し,照らし合わせて,「あっそうか」なのです.

5. 先取り批判メソッド

「もし○○が本当だったら許せない」という発言をわたしは「先取り批判メソッド」と読んでいる。これは極めて卑怯かつリテラシー不足の発言である。理由は以下のとおり。

  1. 「○○」が本当なのかどうかをまず検証する、という「立ち止まり」がない。まずは善悪判断を保留して、その前提となる事実を確認すべきなのに、事実検証の努力を怠っている。
  2. 「もし○○が本当だったら」という仮定形にすることで、「○○が本当だとは断定していない」という言い逃れを可能にしたいという心理が背景にある。自分の発言に責任を取ろうとしていない。
  3. 「もし○○が本当だったら許せない」と発言することで、「許せない」と言われた人に対する強い批判となっているし、聞いた人は「あの人はそういう〈許せない行為・発言〉をした(かもしれない)人なんだ」という悪印象を持つ。
  4. つまり、悪印象だけを強烈に伝える表現であるのに、発言者自身は「断定はしていない」と言い逃れできる。すなわち、「卑怯」な方法で一人の人間を貶めている。
  5. 伝言ゲームの過程の中で、「もし○○が本当だったら許せない」は確実に「○○と言った(とされる)△△さんは許せない」に変形する。その「とされる」が脱落するのも時間の問題である。
  6. その結果、実は○○が間違っていた場合に「そんなことは言っていない」と主張すると「とぼけるな」「しらばっくれるな」「嘘つき」という批判が重なる場合もある。
  7. また、「○○が事実なのかどうかをまず検証すべきであり、それが未検証の段階で批判するのは先走りすぎだ」という意見を述べると、往々にして「△△さん擁護」と誤解されがちである。もしくは意図的に「まず検証という態度」を「擁護」だと決めつけてみせて、検証への流れそのものを封じようとする例さえもある。
「もし○○が本当だったら許せない」メソッドのリテラシー不足:沖縄防衛局長「犯す」発言問題[絵文録ことのは]2011/11/30

自分が雑記の中で,「XならばYだ」の構文を意図的に使ったものがあります.

ここまで書いた,事実関係や憶測の中に間違いが多数あるというのなら,父の生き様は,その後の私の人生や,日々の子育てにおいて,ほとんど影響していないと言うのも,きっと間違いなのだろう.

父の生き様

ですがそれよりも,「先取り批判メソッド」に当てはまるものがあります.『かけ算には順序があるのか (岩波科学ライブラリー)』,第一章の最後の段落です.

しかし,小学校の先生(の一部)が,かけ算の式には「1つ分の数×いくつ分」という,数学的に算数的にも正しい順序がある,と子どもたちに教え,自らもそのように信じているとしたら,それは,改めるべき間違いです.
(p.47)

これに対する「立ち止まり」としては,やはり「かけ算の指導や学習における『順序』とは何なのか?」でしょう.「それは適切な用語なのか」「これまでどこでどのように議論・研究がなされてきたのか」を,付け加えたいと思います.7月29日(聞いた見た書いた)10月22日(「順序」探し)が関連します.


翌日,誤記の訂正と加筆をしました.「分類者」とは,私のことです.

*1:訳注:Fischbeinらを指す.この記述の前に,一つ文献が紹介されている.

*2:訳注:0をかける場合は想定していない.実際,「0人の子どもが4個ずつオレンジを持っている」「0人の子どもが4.2リットルずつのオレンジジュースを持っている」というシチュエーションは変だ.

*3:訳注:選択肢の中から正しい式を選ばせる出題であるのが前提と思われる.

*4:ちなみに他の項目にもそれぞれアラがあります.トランプ配り(の乗法への適用)は,遠山啓による1972年の記事があるから周知されたわけですが,その後の刊行物,例えば2009年に刊行された『遠山啓 エッセンス』に収録されなかった点は,遠山を知り編纂に当たった者の中では当該記事のインパクトが十分でなかったことを示唆します.

*5:しかし,だいぶ経ってから同種の問題を出しても,それなりの割合の児童が「先に出現する数をかけられる数とする」をしてしまうでしょう.かけ算を離れ,学生そして自分の言動を見ていると,学習が万能ではないことを,思い知らされます.

*6:Webの情報で知恵をつけて,子どもが先生を試すように,バツにされたことに文句を言う事態が起こったら,情報収集している者として嫌だなあと,書きながら思ったのですが,幸いにもそのような事例は聞いていません.

*7:身近な小学校教諭経験者(と,ぼかして書くのをお許しください)は,2年までは担任の先生の言うことに納得できなかったけれど,3年の担任が自分のことをよく理解してくれて,それが教職を選ぶきっかけの一つになった,とおっしゃっていました.