
- 作者: 古賀史健
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/01/26
- メディア: 新書
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考え方やテクニックもさることながら,豊富な事例・文例にも注目です.まずは:
大相撲の人気回復策として、ナイター制の導入を提案したい。なぜなら、プロ野球もナイター制をとっている。
(p.138)
なんだか落ち着きません.これを,主張・理由・事実の3点セットが分かるように書くと,こうなります*1.
大相撲の人気回復策として、ナイター制の導入を提案したい。なぜなら、平日の昼間に取組を行っても、会場に足を運べるファンはかぎられるからだ。事実、プロ野球も平日開催のゲームはナイター制をとっている。
(同.一部省略)
もう一つ.ゴジラの例は,笑いました.
フィクションの世界でよく語られる、「大きなウソは許されるが、小さなウソは許されない」という言葉をご存じだろうか?
たとえばゴジラが街にやってくる。
これはとてつもなく“大きなウソ”だが、物語上なんら問題にならない。むしろ大歓迎な大ボラである。
(略)
続いて、ゴジラの攻撃から逃げる主人公が、倒壊したコンビニ前にある公衆電話を使い、妻や子どもたちの安否を確認する。
面白いことに、観客はこうした“小さなウソ”を許さない。
「いまどきコンビニの前に公衆電話なんか置いてねえよ」
「コンビニは壊れてるのに電話線は生きてんのかよ」
「携帯電話を使うだろ、普通」
「この時代にテレフォンカード持ち歩いてるやつなんか見たことねーよ」
「いいから早く逃げろ」
などなど、容赦ないツッコミが入るし、物語のリアリティは一気にしぼんでしまう。映画は、間違いなく駄作の烙印を押されるはずだ。
(略)
物語の描写は、細部になればなるほど手を抜けないのである。
(pp.207-208)
去年読んだどの本だったか,教授会で,数千万円もする機器の購入や使用の件は審議なしだけど,その次の,外から見るとどうでもいい,数万円程度の議題には,喧々囂々になるという話があったっけ….
親馬鹿にせよかけ算にせよ,どっちかというと細かいことを足し込むタイプなので,小さなウソには気をつけたいところです.
他に,ページ番号をメモしていたところを,リストにしておきます.
- p.75: あからまさな“不正解”は存在する(関連:いける学生・あかん学生2012)
- pp.92-93: 圧迫感の解消には「句読点」「改行」「漢字とひらがなのバランス」
- p.184: ラブレターを書く目的は「自分の気持ちを伝えること」ではなく「自分の告白を受け入れてくれること」
- p.192: 起“転”承結(p.195: ポイントは転ではなく起)
- pp.213-214: 自分で解くことをサボった文章には,ほころびが出る.「わかったことだけを書く」ことで読者の“納得”を引き出せる
本日取り上げた本のタイトル,「20歳の自分に受けさせたい」について,自分も考えてみます.もしいま,20歳の向学心あふれる「自分」がいたら,何を伝えたいだろうかです.
与える情報源とツールが一つずつ,思い浮かびます.情報源というのは,次の本です.

- 作者: 石川博久
- 出版社/メーカー: 現代書館
- 発売日: 1998/06
- メディア: 単行本
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大学生の「自分」が,まっさきに知るべき基盤技術は,バージョン管理です.Windows + TortoiseSVNでかまいません.コマンドラインなら,svnでもgitでも.
そして「前の状態に戻れるようにすること」「変化(差分)を意識すること」「コミットの日時を,記録に残すこと」を習慣づけてほしいのです.
より多くの書籍・刊行物から知識を得ること,プログラミング言語やライブラリなどの学習・活用は,上に書いた本とツールで“地固め”をしてからで十分です.