わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

あとさき

土日は:
情報知識学会 第21回(2013年度)年次大会 #jsik - Togetterより

画像左手前のスーツ姿が,私です.手は何をしているのかというと,デジカメを持っています.撮影係をしていました.写真の何枚かは後日,学会サイトに公開されます.ノートPCはDell XPS 12です.


先週は:
Sparrowhawk氏が別名で #掛算 に書き込む例のメモ - Togetterより

画像の中に,自分のツイート.「久しぶりにリンク追加。全部で142件」のリンク先は,「×」を基点に書いたこと(2013年版)です.
なお,上の画像を載せたツイートやまとめに対する個人的な認識は,別のまとめで書いたコメントを転載するとします.

まとめるに至った動機の一つは、@Sparrowhawk4434 さんと @cozycube さんの名前を見かけたことです。この2人については、http://togetter.com/li/504510 http://togetter.com/li/505066 を“ざっと見る”ことをお勧めします。当まとめに戻ると、お二方とも、ハッシュタグ #掛算 で何か見かけたら、ツッコミせずにはいられない性分なんだなと思っています。

#掛算 で情報交換(2013-05) - Togetter


ここまでだったら,「俺がこんなところに」の話でおしまいだったのですが,新たなツイートを見かけました.

読売新聞の記事は,http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20130327-OYT8T00320.htmです.全文を読んで思い浮かんだのは,次の2つです.*1

  • 算数的活動,言語活動
  • 問題解決学習

そのあと,「分数−分数」が3年って先進的だなあと思い浮かびました.文科省サイトに目を通すと,移行措置p.3に「簡単な分数の加法・減法」があり,一つ前の学習指導要領にはない*2ことが確認できました.\frac{3}{5}-\frac{1}{5}=\frac{2}{5}は,通分・約分はいらないし,ジュースでそれぞれの量を可視化できるので,「簡単な分数の加法・減法」というわけなのですね.
算数的活動の充実は,学習指導要領改訂の基本方針の一つであり,いくぶん政治的な話です.極論ですが次の改訂で,「言語化は不要,答えが出ればいい」「いろいろな求め方を大事にしよう」という方針になったら,先生方は表向き,それに従うことになります.とはいえ,それでは良くないと考えて教材を開発したり,独自の授業を実施したりする権利は保障されていますが.
問題解決学習,あるいは問題解決型の授業についての賛否は,それに関する書籍としてどのようなものを読んだかに依存する話です.
ところで,問題解決学習を踏まえた学習指導案では,「解き方」「求め方」よりもむしろ,「反応」という用語をよく目にします.
一つの文章題に対して,立てた式が「反応」となります.「どうしてその式を立てたの?」と聞いたときの返答(のうち,筋道が分かるもの)が,解き方・求め方です.
そして,反応の種類や個数を“統制”するよう,表現や数量に配慮がなされています.学会発表でいうと,スライド構成をしっかりと練り上げ,記載する語句の一つ一つを,慎重に選ぶようなものです.話を授業に戻して…
“統制”には2つの効果があります.一つは,その授業や単元,学年の「ねらい」に基づき先生が効果的に授業を展開しやすくすることです.もう一つは,子どもたちが意識の変容をしながら,なるべく少ない混乱で,新しいことを学習し,今後に活用できるようになることです.
問題解決学習には,ある問題に対して複数の求め方ができる授業も,特定のかけ算の式が正しく被乗数・乗数を逆にした式は間違いという授業も,見ることができます.いずれも,問題解決における「練り上げ」,あるいは上記の読売新聞の記事でいうと「考える」「振り返る」のところで,場面における最も良い方法を児童らが探求します.その活動は,問題解決学習の大事な構成要素であると理解しています.


Q: 学会発表と,算数・数学教育に,共通点ってありますか?
A: 「準備」の必要性・重要性でしょう.入念な準備をしておくことで,想定していなかった質問も受け入れて建設的な議論ができるわけです.算数の授業(書籍,PDFファイルなど)でも,教師の予想していなかった反応(式)に対し,率直な感動を記しているものを見かけます.
Q: それは準備不足ってことでは?
A: 学会発表でたしかに,準備不足が明白という場面も見かけますが,しっかりとした準備とともに豊富な背景知識,そして場数のおかげで,「当たらずと雖も遠からず」な質問に適切に対応しているシーンもよく目にします.
先人の逸話には,「先例のあるような事件ができたら山本さんのところに聞きに行くとよい.手にとるようにおしえてくれて大いに参考になる.そして,先例のないような事件には,高橋さんのところに行くに限る.必ず即刻いい考えを出される」(『大学の反省 (日本の〈現代〉11)』p.170; 先例のあるケース,先例のないケース)というのがあります.想定の範囲を超えた事柄には,それに応じた手段があるものだ,と理解しています.
Q: 問題解決学習を採用しない先生がいたら?
A: 子どもを持つ親に向けて僭越にも提案するなら…どのような学ばせ方をすればよいかを判断し,お子さまに助言することが,大事なのではないでしょうか.なお,問題解決学習を批判している教育団体には向山型算数がありますが,そこでのかけ算の指導事例をこちらで取り上げていますので,どうぞご覧ください.
Q: 本日の記事のタイトルの意味は?
A: 「自分の後ろで自分を見ている*3人がいる」「自分で考えたり発言したりするより前に,その課題についての知見の蓄積がある」とお考えください.

*1:あともう一つ,「考えを出し合って最後に一番いい解き方がわかるとすっきりするから、算数は楽しい」という児童の発言は,記者が無理して書いたなあという印象があります.私自身の発言ではないのですが,研究室の学生のインタビューに立ち会い(教授がお忙しかったので),記事を読んだときの違和感を,思い出しました.

*2:念のため,一つ前の小学校学習指導要領解説 算数編を読んだところ,加法・減法どころか分数を最初に学習するのが第4学年となっていました.

*3:その意図はともかくとして.