わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

虚数とか複素数とかって難しいね

教師「虚数をiと表します。」俺「ほう」教師「i^2は-1になります」俺「…」

俺は高校数学を諦めた

今年書いたものを:

数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)』p.157では,「x^2<0を満たす実数は存在するのでしょうか.」「いいえ,x^2<0を満たす実数は存在しません.」「では,x^2<0を満たす数を新たに定義してみましょう」の3つを字下げさせて地の文の中に埋め込み,そのあと,「このようにして,新しい数――複素数が自然に導入できます.」と記しています.
しかし,複素数の大小比較は要注意です.実際,http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/number/complexnumber.htmでは,複素数に関して,実数と同様の性質を持った線形順序が存在しないことを,背理法(もし存在したら,i<0,i=0,i>0のいずれであっても矛盾)によって証明しています.
複素数を導入するための適切な問いは,「x^2=-1を満たす実数は存在するのでしょうか.」ではないかと思います.

優しい本―算数と数学

実数の概念を既知とし,虚数単位・虚数複素数の定義を学習したところで,もし高校生が「どうして虚数とか複素数とかがいるの?」と聞いてきたら,

  • 方程式3x+1=0は,xが整数の範囲で解なし
  • 方程式x^2+1=0は,xが実数の範囲で解なし
  • だけど,方程式a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots a_1x+a_0=0(ただしa_n,a_{n-1},\ldots,a_0はいずれも複素数)は,x複素数の範囲でちょうどn個の解を持つ

と答え(wikipedia:代数学の基本定理),方程式を解くのは複素数の範囲までやっておくのがいいと,伝えたいものです.
工学系の大学1〜2年生向けには,

  • 複素解析を学ぶと,実数だけで考えていると計算が困難なある種の積分が,留数定理(wikipedia:留数)を使って容易に計算できる

だと思います.
かくいう私はふだん,授業にも研究にも複素数は使いません.iはもっぱら,添字に使用します.*1

*1:それと,極形式は,たまに使います.